AFCアジア・チャンピオンズリーグ・グループステージ第3節・上海上港戦プレビュー

グループステージ首位の上海上港

浦和レッズはAFCアジア・チャンピオンズリーグのグループステージ第1節・ウエスタン・シドニー・ワンダラーズ戦で4ー0,同第2節・FCソウルで5ー2と勝利して連勝を果たした。これは浦和にとってノックアウトステージ進出に向けてのジャイアントステップになるだろう。特に昨季2016シーズンのACL・ノックアウトステージ・ラウンド16でPK戦負けを喫したFCソウルにリベンジできた事実は大きく、チームは改めて自信を携えることができたはずだ。

浦和が所属するグループFの状況を整理すると、浦和と共に中国スーパーリーグの上海上港が同じくFCソウル、ウエスタン・シドニーに連勝している。したがって浦和と上海の2チームが一歩抜けた形となり、FCソウルとウエスタン・シドニーは未だ勝ち点0のままだ。したがって明日の上海とのゲームは現状の天王山となり、今回勝ち星を挙げたチームはかなり優位な状況になる。

上海上港は昨季の中国スーパーリーグ3位で、今回のACLはプレーオフでタイのスコータイFCに勝利して本選への出場権を勝ち取った。ちなみに昨季中国スーパーリーグのチャンピオンは広州恒大で、2位は今年の沖縄キャンプで浦和がトレーニングマッチを行った江蘇蘇寧である。ただ今季の上海上港は戦力が強化され、今季のスーパーリーグとACL全5試合で無敗を堅持し、優勝候補に目される強豪である。

上海上港の指揮官はポルトガル人のアンドレ・ビラス・ボアス監督が率いている。ビラス・ポアス監督はポルトガルリーグのFCポルトでリーグ制覇とUEFAヨーロッパリーグ制覇を達成し、後にイングランド・プレミアリーグのトッテナム・ホットスパーやチェルシーでも指揮を執った、ヨーロッパシーンでも名の通った指揮官だ。そんな39歳の若き戦術家の下にはブラジル代表FWフッキ、同MFオスカル、そして中国スーパーリーグで高い実績を誇るFWエウケソンらが集結し、ハイレベルな陣容を形成している。上海上港には他にウズベキスタン代表MFオディル・アフメドフや、今季のACLの出場登録からは漏れているが元ポルトガル代表DFリカルド・カルバーリョまでもが在籍し、これに中国代表MF蔡慧康、FW武磊らが脇を固めている。

強力なブラジル人トリオ

上海上港の最注目選手は、やはりブラジル人トリオだろう。FWフッキは日本でもお馴染みのフィジカルモンスターで、プロレスラーのような体躯を誇りながら類稀なスピードで相手を圧倒し、強烈なシュートで敵ゴールを射抜く。先のFCソウルとのアウェー戦では超弩級のキャノンショットで決勝点をマークしており、調子は上々のようだ。そして今季チェルシーから移籍加入したMFオスカルはフッキと共に2014年のブラジルワールドカップに出場したファンタジスタだ。一見すると華奢な身体に見えるが、その姿に騙されてはならない。相手のチャージを軽やかに交わしてスラローマーのように敵陣を切り裂き、味方FWへスルーパス、もしくは自ら持ち込んでフィニッシュまでしてしまう万能型。彼にボールを持たせると高確率でチャンスを創出するので、対戦相手は彼の周囲にスペースを与えてはならない。しかしオスカルは局地戦をいとも簡単に打開してしまう。非常に厄介なMFで、後述するフッキ、エウケソン、そして3トップの一角に入る武磊とのホットラインを遮断しないと失点リスクが急速に高まる。

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