大サポーターの後押しを受け、浦和がアジア王者を粉砕!【島崎英純】2016ACLグループリーグ第4節・広州恒大戦レビュー

■ACL用ターンオーバー

緊張感漂うタフゲームだった。ホームの浦和レッズはAFCアジア・チャンピオンズリーグ(以下、ACL)のグループステージH組で2位以内に入り、決勝トーナメント進出へ弾みを付けたい一戦。かたやアウェーの広州恒大は3節を終えて2分1敗の勝ち点2でステージ最下位に低迷し、今一戦で勝利しなければ4年連続の決勝トーナメント進出に黄色信号が灯る。両チームともに結果を求める正念場で、このようなシチュエーションでは総じて様子見の手堅い試合展開に落ち着くことが多い。しかしこの日の両チームはお互いのストロングポイントを全面に押し出し、アグレッシブでエキサイティングなサッカーを標榜し続けた。

浦和のシステムは変形の3─4─2─1。バックラインはここ最近のゲームで固定化されたリベロ・遠藤航、ストッパー・槙野智章&森脇良太のセットで、ダブルボランチには前日別メニュー調整だった阿部勇樹と、チーム全体をオーガナイズする柏木陽介が入った。また両翼には阿部と同じく前日別メニューで調整した関根貴大と、チーム内連係の具現者である宇賀神友弥が立った。そして肝となる前線トライアングルは1トップ・ズラタンにシャドー・武藤雄樹&梅崎司のユニット。ズラタンをスタメンで最前線に据えるのは今季のACL全試合で採用してきた布陣で、屈強なフィジカルを誇るアジアクラブのディフェンダー陣に対抗する、ミハイロ・ペトロヴィッチ監督の考えに基づくものだと考えられる。

またベンチにはFW興梠慎三が控えたが、これも今までのACLのゲームと同じ起用法だった。ここから、前半は相手のフィジカルコンタクトに対抗し、後半から興梠、李忠成らを投入してギアシフトし、チームコンセプトの幹であるコンビネーションプレーで相手守備網を崩す指揮官の意図が読み取れた。

またペトロヴィッチ監督の選手起用法で特徴的なのは、これまでのACLのゲームで関根をホーム戦で起用し、アウェー戦では敵地に帯同すらさせていない点だ。その理由について、関根本人に聞いてみた。

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