【浦研鼎談】vol.1 「プロフェッショナルとは・その2」(2012/2/28)

その1から続く

プロとしての選手契約

島崎「逆に水沼さんは日産という強豪チームにいて、優勝争いを義務づけられたような環境でそこでのプレッシャーはあったんじゃないですか? 読売との戦いはナショナルダービー的な位置づけでしたし」

水沼「読売には勝てたんだけど他に勝てなかったから優勝できなかったんだ(笑)。読売とはお互いにリスペクトし合っていたし、その中でも絶対に負けたくないという気持ちは強かったね。日産は読売に追いつけ追い越せでやってきたから。早い段階でプロ契約を結ぶ選手も多くいたし。福ちゃんは三菱に社員で入ったの?」

福田「最初は社員です。2年半社員としてプレーしました」

水沼「じゃあそのときに、三菱はプロ契約でやるという選択肢はなかったの?」

福田「ないですね。僕が入って2年くらい経ってからですかね、プロ契約でも良いという形になったのは。でも、最初はプロ契約を選択しなかったんですよ。はじめからプロになろうと考えていたら、三菱は選んでいませんからね。今の時代だったら間違いなくプロになってると思います。社員になったって、いつクビを切られるかわかりませんから。水沼さんもそうだし僕の頃もそうですけど、当時は終身雇用じゃないですか。会社に入れば年功序列で最後まで面倒を見てもらえるし、サッカーで飯を食っていける時代じゃなかったし、サッカーを辞めてからのことも考えていました。ただ僕の場合は水沼さんと少し違って、三菱・古河・日立というチームを選び社員で契約するという選択肢と、日産・読売・ヤマハなど、プロの志向が強いチームを選ぶという二つの選択肢を持てたんです。僕は自分に対して自信もなかったし、三菱を選んだのは必然的なことでしたね。ただ、加入して1年が過ぎ2年が過ぎというところでプロ化の話が出てきて、はじめはプロ契約になることに抵抗感がありました。周りの人も賛成しませんから」

水沼「じゃあ、凄い決断をしたんだね」

福田「僕の人生の中では、一番の決断です。間違いなく」

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