【島崎英純】日々雑感-ミシャとの会話を経て(2012/2/28)

ミシャが熱く語るテーマ

先日、ミハイロ・ペトロヴィッチ監督と長く話をした。

ここからは親愛の意を表して彼の事をミシャと呼ぶ。彼とはすでに1月下旬の宮崎キャンプ中にインタビューを申し込んで、それなりに会話を重ねていた。ただ当時はキャンプスケジュールがタイトだっただけでなく、インタビューを設定されたのが夕食前の限られた時間だったため、それほど突っ込んだ話をできなかった。ミシャの方としても面識のない相手である私にすぐさま心を開くのは難しく、その時は様々な媒体で発していた、当たり障りのない決意表明に終始していたように思う。

ただ、あるテーマに話が及んだ際には彼も少しばかり興奮していた。それは自らのサッカー観についてである。これは記者会見などの公の場でも彼自身語っていることだが、その勝負哲学、攻撃的思想について、ミシャは熱く語る傾向にある。例えばバルセロナを引き合いに出して「誰だってあんなチームを率いたいと思うよ。それに誰だって、あんなチームを応援したいんじゃないかな」と憧憬の念を抱き、バルセロナが彼にとっての理想郷であることを隠そうとはしなかった。

そこで今回のインタビューでは、少しミシャを焚きつけるような質問をしてみようと企んだ。そして一言、「なぜ自陣後方でビルドアップをするのですか?」と問うてみた。私の意図を十分に汲んでくれた通訳の杉浦大輔コーチはドイツ語で、少々辛辣な調子でそれをミシャに聞いてくれたのである。するとミシャの顔色が突然変わり、フンと鼻を鳴らすようにして、彼はこう言った。
「自分はロマンチストなんだ」と。

(残り 2436文字/全文: 3099文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

日本サッカーの全てがここに。【新登場】タグマ!サッカーパック

会員の方は、ログインしてください。

« 次の記事
前の記事 »