J1第10節全試合振り返りLIVE(J論)【4/14(月)22時】

2011年への期待 島崎英純/福田正博(2011/3/1)

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2011年への期待-島崎英純

ついに2011年のJリーグが開幕する。浦和レッズはかつて選手時代にチームを強烈に牽引したゼリコ・ペトロヴィッチを新監督に迎え、新たなるチーム構築に着手した。

1月のチーム始動からこれまで、チームは新指揮官の指導の下、”オランダ式ポジションサッカー”の習得に励んできた。1対1での果敢な勝負。ピッチをワイドに使った攻撃、オートマティックで効率的な守備、そして試合に勝利するための溢れる熱意。新スタイルに取り組む選手たちの表情はとても明るく、誰もが前向きに物事を捉える様子がそこかしこでうかがえた。

しかし、浦和はプレシーズンマッチを重ねる内にチームの戦術構築がまだまだ途上であることを露呈していく。それは試合をこなす毎に露わとなり、その不安は増していった。 しかし、この現象は必然でもある。クラブがどのように抗弁しようとも、昨季と今季とでは、そのチームスタイルが明確に異なることはペトロヴィッチ監督が就任した直後にすぐさま明らかになっていた。それは実際にピッチでプレーする選手たちも如実に感じ、痛感したことでもある。

だが今のチームはこの困難にも怯まず、前を向き、挑戦する覚悟を決めている。クラブの指針云々はさておいて、その点において、今のチームには団結心がある。

ペトロヴィッチ監督は言った。

「サポーターが、チームの結果が悪かった場合に私に対して怒るのは自由だ。それは一向に構わない。いくら私に怒鳴ろうとも、私はサポーターのために全力を尽くす。ただ、今のチームは難しい状況にある。このような状況だからこそ、浦和を愛しているサポーターのような熱い心を持っている人たちは、今、このクラブが難しい状況であることを感じて、私たちを支えて欲しい」

ペトロヴィッチ監督は純粋に、浦和レッズの監督になることを欲し、その使命を全うすべく日本に再び降り立った。そこに一切の他意はない。指揮官は全身全霊を込めて、このチームを高みに導く努力をしてくれるだろう。

だからこそ、浦和を取り巻く方々は、今季のチームの戦いをしっかり注視しなければならない。この『浦研プラス』では私、そして福田正博氏のふたりで、そのための助力ができるよう、日々見解や情報を発信するつもりだ。是非皆さんも、浦和の新たなる旅路を、共に歩き、見つめていただきたいと思う。

2011年への期待-福田正博

プレシーズンマッチなどを見て、ペトロヴィッチ監督がやろうとしているサッカーは、はっきりしている。どういうサッカーをしたいか、それを選手に伝える作業もしているし、ピッチで選手が表現しようとしているのも事実。ただ、ペトロヴィッチが監督に就任してまだ1ヶ月ということの時間的な問題とメンバーが変わったということで、選手も消化しきれていない部分があると思う。

そのためにプレシーズンマッチでは思ったような試合が出来ていない。最後の栃木SC戦も勝利こそ収めたものの、内容は、やりたいと思われることの半分も出来ていない。それでも選手達は前向きにチャレンジをしていると思う。

日本人選手は言われたことを一生懸命やろうとするが故に、自由さを失ってしまうことがある。そのために窮屈な中でプレーをしているように見受けられる。その部分では、もっと決められた中で、自分達のサッカーをしても良いのではないだろうか。そしてそれは逆に、それだけペトロヴィッチが自分のやりたいことを、選手たちにしっかりと刷りこんできていることを意味している、とも言える。

選手が変わって、監督が変わって、新しい監督の戦い方をこなす意味においては、1ヶ月くらいでチームがスムーズに進むわけではない。開幕して何試合かは厳しい試合が続くかもしれないが、選手もチームもやり方を信じて、戦い方を消化できるように日々トレーニングで努力するべきだ。

また、浦和のサポーターはサッカーを理解していると思うけど、サポーターも新しいことにチャレンジしている段階で、そうそう簡単に物事が進まないということを理解する必要がある。新しいことにチャレンジするということは、いきなり全てがうまくいくわけではない。チームが諦めず、勇気をもってチャレンジし続けられるようにサポートして欲しい。それこそがサポートではないか。

苦しい時にこそサポートをしていく。ピッチの中でも外でもお互いが助けあっていくことがチームスポーツの良さだし、美しさだ。最初のチャレンジは多くの失敗をと痛みを伴うが、前向きにチャレンジできるように、クラブもスタッフもサポーターも、しっかりとサポートをしていって欲しいと思う。それこそが、チームと共にひとつになって戦っていくことだと思う。ペトロヴィッチには是非、成功を収めてもらいたい。

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