「GELマガ」鹿島アントラーズ番記者・田中滋WEBマガジン

若いチームが初めて見せた勝ち方/【レビュー】J1第5節 鹿島対磐田

試合後の選手取材がひととおり終わったあと、記者室に戻ろうとしたところで鈴木満さんが数名の記者と歓談しているのが目に入った。ホクホク顔の満さんは土居聖真のパフォーマンスについて聞かれると「聖真、よかったよ。サッカー選手ってだんだんポジションを下げていくもんだけど、やっぱり聖真は真ん中だと生きる」と答えていた。

話題は試合全体、そしてポポヴィッチ監督についてに及ぶ。そのとき満さんの「ストレスがない」という一言が、スッと腹に落ちた。

「試合がどうなるんだろう、っていうハラハラした気持ちはあるけどストレスがない」

確かにそうだ。試合を見れば、土居聖真と知念慶がボランチに並ぶ構成に始まり、積極性を欠いていた藤井智也をスパッと代え、後半に押し込まれると持っている駒を最大限に生かしながら蓋をして1−0で終わらせた。ポポヴィッチ監督が見せるサッカーは、今回もまた的確だった。チームとしても目指す姿にはまだまだほど遠いが、それでも着実に前進していることがうかがわれる。

チームとしての狙いは、もしかしたら相手の方が多く出せていたのかもしれない。しかし、その流れに屈することなく、きっちり勝点3を持ち帰ることができた価値ある勝利だった。

 

 

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