変化のたびに繰り返される凡戦/【レビュー】J1第30節神戸対鹿島
いまあるものに付け加えることで成長していくことを企図しているはずなのに、いまあるものから別のものに変わってしまう。岩政アントラーズで何度も見られた現象が、今回もまたピッチの上で展開された。
なぜ、こうなってしまうのか。3週間で行ったのは、相手が嫌がることを選択できるようになるため、選択の幅を広げる取り組みだったはずだ。
「ビルドアップでつないでいきましょう、というよりも、自分たちがどのようにリズムを取って、相手が動いてくるとき、動かないとき、自分たちが攻撃のボールを保持したときにどのようにサッカーをして、支配していくのか、というところの考え方を揃えた、と言う方が正しいかな、という気がします」
試合前、岩政大樹監督はそう言っていたが、試合を見る限り、監督の思惑やイメージが選手にきちんと伝わっているとは思えなかった。選手たちが実践したのは[4−2−4]でプレスをかけてくる相手に対して、相手ボランチも前に出てくればその背後で荒木遼太郎や鈴木優磨が起点をつくりやすくなることと、そこを囮にしてさらに奥のスペースに藤井智也が斜めに走り込むことのみ。まるで、そのデザインだけが“神戸対策”として選手に伝わっており、それが通じなければなにをしていいのかわからなくなってしまう姿は、大迫勇也を起点に攻撃を仕掛けるという徹底した姿勢を1年間貫いてきたことで、そこからいくつものバリエーションを派生させた神戸の力強さとは対照的だった。
(残り 3848文字/全文: 4470文字)
この記事の続きは会員限定です。入会をご検討の方は「ウェブマガジンのご案内」をクリックして内容をご確認ください。
ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。
会員の方は、ログインしてください。
外部サービスアカウントでログイン
Twitterログイン機能終了のお知らせ
Facebookログイン機能終了のお知らせ