「GELマガ」鹿島アントラーズ番記者・田中滋WEBマガジン

遂に、目指してきたスタイルを確立/【レビュー】明治安田J1第22節 鹿島対札幌

樋口雄太のゴールが決まったときの感情を表現するならば「感動」という言葉になるだろう。

マンツーマンで激しくマークしてくる相手に対し、勇気を持ってスペースへ動き出し、その動きに呼応してパスをつけ、味方を信じて次のスペースに走り出す。言葉にすると単純な作業を、臆することなく、どこまで繰り返せるのかが試されるなか、選手たちは最初のプレーで一発回答してみせたのだ。

ゴールを決めた樋口の視線を追う。その先にいた副審の旗は上がらなかった。歓喜の輪が大きくなるのを見ながら、込み上げてくる感情の波と戦わなければ落涙していたかもしれない。

「ようやくここまで辿り着いたな、という気がしてます」

試合後、岩政大樹監督は「選手たちがよくここまで間に合わせたなと思います」とあくまで選手たちを讃える姿勢を崩さなかった。しかし、私たちはこのチームの進捗をつぶさに見てきたはずだ。選手だけの手柄でもなく、監督だけの手柄でもない。このチームのことを諦めずにサポートしてきた鹿島アントラーズファミリー全体での勝利だ。

「これからが本当の勝負だと思っています。これを持って、上位陣に殴り込みをかけるというところに至れた」(岩政監督)

これまで上げてきたどの勝利とも意味が違う。

シーズン当初に目指していたチームのスタイルを遂に手にすることができた。さあ、ここからが勝負だ。

 

 

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