こうやって鹿島は強くなってきた/【レビュー】明治安田J1第13節 鹿島アントラーズ対コンサドーレ札幌
意見をぶつけ合うことを避けるチームは強くなれない。なぜなら、サッカーに正解はないからだ。
正解がないところで意見をぶつけ合うのだから意見が交わることは少ない。どちらが良くて、どちらが悪いという問題ではないのだから、議論したところで一つの結論に達することはないだろう。しかし、平行線をたどったとしてもぶつかり合った価値は大きい。最後に残るのは“責任”だからだ。
自分の主張に正当性を持たせるには、自分の責務に対して真摯に向き合い、プレーで示すことでしか実現できない。逆に、それをしなければ誰も耳を傾けなくなるだろう。意見をぶつけ合う真の意味はここにある。確かに、ぶつかり合えば険悪なムードは生まれるだろう。しかし、結果的に、自分のやることに責任を持って取り組む選手は増え、その責務が遂行されれば信頼関係が醸成されていくはずだ。それがチームを強くするのだ。
札幌戦に向けた準備に取り組むなかで、選手たちは激しくぶつかり合った。そのほとんどに鈴木優磨が絡んでいたことは否めない。水曜の練習ではアルトゥール・カイキと、木曜の練習ではディエゴ・ピトゥカと口論になったのは確かだ。しかし、鈴木優磨は誰彼かまわず噛み付く選手ではない。自分の感情をぶつけても絶対に信頼関係が崩れない相手であることをわかってやっている。
今まで、その対象は安西幸輝しかいなかった。だが今回、同じことをカイキにも仕掛けられた。アルトゥール・カイキをファーストネームで呼ぶチームメイトは日本人では鈴木だけだ。二人は胸を突き合う喧嘩をしたが、はたして試合になれば互いの良さを引き出し、4得点の大勝につなげた。
過去を振り返っても、鹿島はこうやって強くなってきた。
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