「GELマガ」鹿島アントラーズ番記者・田中滋WEBマガジン

鹿島に沖悠哉あり/【レビュー】明治安田J1第16節 清水エスパルス戦

「試合前から非常に厳しい試合になるだろうと予想していました」

 試合後のザーゴ監督の率直な感想が、この試合を物語る。序盤は、出足のいい清水に非常に苦しめられた。

 [4-3-3]の清水は左WGの西澤健太に左SBの金井貢史が絡む攻撃がとてもいやらしかった。そこに鈴木唯人も加わるため、鹿島はディフェンスの間を取られてしまいうまくブロックが築けない。清水はボールを失うと[4-2-4]の形でプレスに移るトランジションも速く献身性も高かった。

 そんな相手に対して鹿島はなかなかゴール前に迫れない。8分には左から完全に崩され(金井はゴール前へのクロスを選択したがファーサイドに金子翔太が余っていた)、15分には、最近の試合では珍しく河井陽介からカルリーニョス・ジュニオへズバッと縦パスを通されてしまう。町田浩樹が寄せてシュートは許さなかったが危ないシーンだった。21分には左CKを蹴った西澤にポスト直撃のボールを蹴られ、自陣から抜け出せないこの時間帯で失点していたら試合の流れがどうなるかわからなかった。

 しかし、1本のロングフィードが押し込まれていた状況を一気にひっくり返す。

 23分、沖悠哉の和泉竜司への正確なフィードが、相手の思いきったプレスの出足を鈍らせた。飲水タイムを挟み、再び試合が再開すると立て続けの2得点。流れをもたらしたのは、短い時間に3つのフィードを通した沖悠哉のキックだった。

 

 

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