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【トピックス】森谷俊雄氏がモンテディオ山形の新社長に就任!

株式会社モンテディオ山形は12月1日、髙橋節前社長の退任を受けて臨時の取締役会を開き、森谷俊雄(61歳)氏が代表取締役社長に就任したと発表。新社長となった森谷氏が取締役会後に就任記者会見を行った。森谷新社長の任期は髙橋前社長の任期を引き継ぎ17年4月まで。

会見の冒頭の挨拶では、モンテディオ山形について「幅広いファン層を持つ地域に根ざしたチームで子供たちの誇りと夢を育む存在」と話し、「まずはJ1復帰に向けて来季を戦うチームを支えられる経営的なやりくりをしながら支えていきたい。J2での戦いになるがファンサービスを向上させながら取り組んでいきたい」と経営の方針を述べた。
その後、「クラブを愛して支えてくれるファンサポーターの方々、そしてスポンサーの方々、自治体の方々、多くの方々の意見を伺いながらチームとファンのために頑張りたい。情熱を持ってチームを愛しながらこの重責を担いたい」と決意を表明した。

質疑応答では、新社長の経営方針や髙橋前社長退任の経緯、新スタジアムへの具体的な方針などが問われた。
髙橋前社長退任の経緯でサポーターから起こっている意見については「後任者としては要請を受けて心の準備をしていたが、モンテディオ山形のこれからを愛する故の様々な声には真摯に耳を傾けたいし、今回の件に限らずサポーターの声は大切」と批判的な意見にも耳を傾け、意思疎通を図る考えを示している。今回の一連の騒動を受けて、まずはサポーターやスポンサー、自治体などに対しての関係改善に務める考えもあるのだろう。

会見の中では、サポーターの関心が高い新スタジアム問題についても触れ、「応援する方々が快適に観戦出来る環境という課題は、クラブライセンスの課題に留まらず、集客力、引いては経営の安定化という観点から見ても重要な課題」と話す。髙橋前社長が新体制に引き継いた新スタジアム構想検討委員会での提言については、具体的な検討を進めるスタートと位置付けた上で、「これまでの検討内容を踏まえながら、実現に向けた具体的な取り組みを進めなければならない」と前向きな方向性を示していた。
提言をどのような形で公表するかについては、「今あるものを引き継いで示すのが素直な進め方。どう言う形で周知するのかを検討している」として、方針が固まり次第、12月中に公表したいと述べた。

クラブとしては今後も新スタジアム建設に向けた議論を進めていくという方針を確認できたと言える。サポーターの中には、今回の件で髙橋氏が纏めた構想委員会の提言自体が握りつぶされるのではないかといった懸念もあっただろうが、これについては杞憂に終わりそうだ。

スタジアム議論の今後については「資金や立地、設備、整備主体などまだまだ議論が必要」とし、まずは提言の内容を周知させた上で、県民や自治体などの意見を纏めながら実現に向けて整理する考えを示している。その上で「公設公営なのか、公設民営なのか、民設民営なのか」といった整備主体も模索したい考えを示していた。

会見自体を振り返れば、森谷新社長は話の途中途中で言葉に詰まる場面も多く、質問と回答が食い違うことも少なくなかった。経営面やモンテディオ山形についての見識が深いとも言い切れず、場慣れしていない印象が強く残ったが、逆に「県OBなのは事実」と天下りを認めながらも、必要最低限の知識や求められる発言などは短期間ながら叩き込んでくる勉強熱心さも伺えた。

「柔軟な発想で」、「出来ないと考えるよりもどうやったら出来るかと前向きに」、「協力しながら皆さんと一緒にやりたい」といった森谷新社長本人から出る発言もあり、周囲と関係を築きながら物事を進めるタイプの社長という印象も受けた会見だった。

今回の会見でのこういった発言に行動が伴うかどうか、実務レベルでどういった仕事をするかを判断するにはやはり時間を要する。まずは新スタジアムの提言についての情報開示の進め方や、サポーター、スポンサー、自治体など周囲との関係を改善させるためのフォローなど、オフシーズンの動き方でその手腕が問われることになるだろう。

そしてこれは私見になるが、一連の髙橋前社長退任騒動と今回の森谷新社長の就任の件は、全く別問題として考えていくべきだと考えている。
髙橋前社長退任の件については、森谷新社長が就任した所で解決する話ではなく、モンテディオ山形の組織を考える上で引き続き議論を要する重要な案件と言えるはずだ。一方で、髙橋前社長の件があるからと森谷新社長を頭から糾弾し、天下りだからとはなから煙たがるのは全く筋違いの話ではないだろうか。森谷新社長については、あくまでモンテディオ山形の新社長としての手腕を問い、見届けていくべきだ。

その上で、モンテディオ山形というクラブの今後を考えた言動が求められるのではないだろうか。

森谷新社長650

およそ1時間の会見を終えた森谷俊雄新社長は、最後に記者から渡された色紙に「モンテディオ 子供たちの夢と誇り 皆で応援!!」と書き、モンテディオへの愛情を注ぐ決意を表明した。

森谷 俊雄(もりや としお)  新社長 経歴

生年月日 昭和29年7月4日(61歳)
出身 山形県西村山郡河北町

経歴:
昭和53年3月 東北大学法学部卒業
昭和53年4月 山形県庁入庁
平成16年4月 最上総合支庁企画振興課長
平成18年4月 人事課長
平成21年4年 総務部次長
平成23年4月 企画振興部長
平成24年4月 環境エネルギー部長
平成27年3月 山形県退職
平成27年4月 公益財団法人山形県産業技術振興機構 専務理事
平成27年11月26日 株式会社モンテディオ山形 取締役就任

●ULTRAS ACMYが森谷新社長へ嘆願書を提出
森谷新社長就任会見終了後、モンテディオ山形サポーターズクラブ連合会「ULTRAS ACMY」の代表藤倉晶氏とコールリーダーの大場脩氏が、「髙橋前社長解任騒動に対しての嘆願」と題した嘆願書を報道陣の前で森谷新社長へ提出した。
嘆願書の主な内容は「サポーターカンファレンスの早期開催」「解任騒動の理由と社長就任の理由の説明」「髙橋前社長が進めていたスタジアム検討委員会の構想発表」の3点。
森谷新社長はこの嘆願書を受け取った上で、「サポーターの意見も大切で一緒にやらせて頂ければ。選手がプレーに専念できるようサポートして頂きたい」と藤倉氏と大場氏に話していた。

藤倉氏は今後、モンテディオ山形の株主である吉村美栄子山形県知事に向けて、抗議する署名活動を行うという考えを示しています。

嘆願書提出650

(文・嶋守生)

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