Dio-maga(ディオマガ)

酒田を熱くした6つのゴール。トレーニングゲーム vs ソニー仙台(1575文字)

6/13(土)トレーニングゲーム 45分×2
モンテディオ山形 6(4-0、2-1)1 ソニー仙台
会場:酒田市飯森山公園多目的グラウンド
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2010年、FIFAワールドカップ南アフリカ大会と同時期に行われたキャンプから5年、酒田にモンテディオが帰ってきた。庄内ミニキャンプ1日目は、昨年の天皇杯3回戦で対戦したJFL・ソニー仙台とのトレーニングゲーム。ここまで試合出場の少ない選手を中心にメンバーが組まれたが、特に復帰後初の実戦となる渡辺広大や宇佐美宏和にとっては、自分の現在地を知るうえで貴重な時間となる。

2日前に2部練習で追い込んだ体には疲労が残り、慣れないメンバーの組み合わせで、序盤は落ち着かない展開もあったが、「高い位置でチーム全体として切り換えが早かったし、取られたあともまたすぐ取り返して攻撃につなげられてた」(山田拓巳)。21分、萬代宏樹が高い位置で奪うと同時に、ギャップを突いて飛び出したのは、あと20日ほどで二十歳になる若武者・汰木康也。スルーパスを落ち着いてコントロールし、先制のゴールを流し込んだ。

相手のメンバー交代にも乗じて追加点を奪ったのは32分。山田はここまで、同システムで対峙する相手ウィングバックの裏を突き始めていたが、クロスを上げるシーンで相手守備に当ててしまうケースが多かった。しかし、ここでは中央へ送ったボールが中で合わなかったものの、ファーサイドへ流れたボールに詰めていた高木利弥がダイレクトで合わせて2点目。40分には、日髙慶太が右方向へサイドチェンジし、山田が切り返して左足で上げたクロスを、またも高木利がダイレクトで合わせ、相手にも当たってゴールマウスの中へ。右から左へ、敵陣でウィングバック同士のコネクションが生まれた。

今日1得点の萬代と、70分間プレーして2得点の高木利。高木のゴールはいずれもファーに流れたボールを拾い、角度のないところからシュートを決めた。

今日1得点の萬代と、70分間プレーして2得点の高木利。高木のゴールはいずれもファーに流れたボールを拾い、角度のないところからシュートを決めた。

前半終了間際には、相手ボランチの足元からボールを奪った川西翔太が即座に縦へ。足元で受けた萬代が決めて4点目。前半だけで大量4点を挙げて折り返した。

後半に入って6分、ソニー仙台・細見諒にロングシュートを決められたが、萬代、川西が交互に裏を狙うなどしながらチャンスを作り、14分には日髙のクロスを川西がヘッドで落とし、中央でフリーとなった萬代がボレーシュートを狙ったが、これは枠をそれた。しかしその6分後、ドリブルで中盤まで上がった宇佐美が右サイドの山田へボールを送る。ニアへ飛び込む川西と交差して中央左寄りの位置へ回り込んだ宇佐美が、正確に届けられた山田のクロスボールをきっちりと左足で合わせた。

ピッチ脇では當間建文と瀬川和樹がユニフォームに着替え出番を待っていたが、27分、瀬川だけが高木利と代わってピッチに入り、當間はビブスを着てベンチへ引き上げた。「70分でフィジカルコーチのほうから2人代えてくれと言われて、代えようとしたら広大から拒否されたからよ。あんなのあるんだなと(笑)」(石﨑信弘監督)

70分で交代予定だったが、「行けそうだったので行った」と90分間プレーした渡辺広大。まだ踏み越える段階はあるが、この試合が公式戦復帰への大きな一歩であることは間違いない。

70分で交代予定だったが、「行けそうだったので行った」と90分間プレーした渡辺広大。まだ踏み越える段階はあるが、この試合が公式戦復帰への大きな一歩であることは間違いない。

ここからしばらくは川西のオンステージ。くさびを受けてシュートまで持ち込んだり、瀬川のドリブルを中継して日髙のシュートシーンを演出。そして33分の相手ゴール前、フェイントでタイミングをズラしたシュートでチームの6点目を奪い、その直後にも舩津徹也からパスを受け、相手キーパーを巧みにかわしてゴールマウスに流し込んだ。ただし、これはオフサイドの判定でノーゴール。

39分に摂津颯登が入って以降は、疲れから全体にボールへのアプローチが甘くなり、ミスが増えて押し込まれる時間が続いたが、最後までしのいで6-1で終了。集まった約1800人のギャラリーに、6つのゴールとともに勝利がプレゼントされた。

(文=佐藤 円 写真=嶋守生)

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