浦レポ by 浦和フットボール通信

厳しさの多い完敗、表出したデメリットと持ち越した課題【轡田哲朗レッズレビュー/天皇杯4回戦 名古屋戦】

(Report by 轡田哲朗)

中断期間中に加入した選手は全員がメンバー外

浦和レッズは8月2日に天皇杯4回戦(ベスト16)で名古屋グランパスと対戦して0-3の敗戦に終わった。一発勝負のトーナメントなので、これでこの大会からは脱落。AFCチャンピオンズリーグ(ACL)出場権につながる重要なトーナメントは「2番目の優先順位」とされていたが、ここでそのルートは絶たれた。

浦和は7月16日にセレッソ大阪戦を終えて、翌日から8日間のオフを取った。6月半ばあたりからの試合を見ていれば、バッテリー残量に問題を抱えているように見えた人は多かったのではないかと思う。だから、試合間隔だけでいえば中16日あったうちの半分を休むことになった。その間にエカニット・パンヤ、宮本優太、安部裕葵、中島翔哉の獲得が発表されたが、そこから登録メンバーに入った選手はいなかったのでシーズン前半戦にいたのと同じ選手たちでこのゲームに臨んだ。

名古屋はキャスパー・ユンカーをベンチスタートにしていて、サウジアラビア移籍が決まって8月3日にチームを離れると発表されていたマテウス・カストロが出場してきた。彼はJ1の中でも少し規格の違うレベルの選手なので、浦和にとっての損得の話だけすれば出ないでくれた方がありがたかったが仕方がない。結果から逆算して言えば、そのスペシャルな部分をセットプレーで出された上に、どうしても全体が間延びしてくるような時間帯にユンカーを入れるという彼らの思い描いた通りの試合展開に持ち込まれてしまった。

マンツーマン気味の相手を上回れず、恐怖感も与えなかった

浦和はシーズン前半戦から見て、何かをガラリと変えるような感じではなくスタートした。もっとも、メンバーを変えずに見た目が大きく違うような何かをするにはオフが明けてから8日間では短いので、それは自然なことでもある。浦和の配置に対して、名古屋は1トップが岩尾憲について2シャドーがセンターバックまで押し出してくるやり方で、これは昨季のリカルド・ロドリゲス監督の時に対戦した試合でも全く同じやり方だった。4月9日のリーグ戦でもやろうとしたことは同じだっただろうけれども、ユンカーがそこまで頑張れない部分で浦和は少し後ろでボールを安定させられたので、長谷川健太監督の起用にはそのような背景もあったかもしれない。そこから後ろを見ていくと基本的にマンツーマン気味に人が捕まるような形になっていて、浦和が「バランスよく」場所を取ると名古屋はそれほど苦労せずに担当が決まる形になった。

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