【サッカー人気5位】【浦和を語ろう】[特別コラム]2年連続100億越えの偉業も…

【島崎英純】2023Jリーグ第25節/湘南ベルマーレvs浦和レッズ・試合レビュー『スコルジャ体制の真骨頂。優勝戦線に生き残るウノゼロ』

©Yuichiro Okinaga

酷暑の中で

AFCチャンピオンズリーグ・プレーオフで香港の理文FCを3-0で下して同大会本選への出場を決めた浦和レッズは、中2日の厳しい日程でJリーグ第25節のアウェー・湘南ベルマーレ戦に臨んだ。

マチェイ・スコルジャ監督は理文戦で主力とバックアップの混成編成を組んだ。その結果、FWホセ・カンテ、MF岩尾憲、DFアレクサンダー・ショルツらはフレッシュな状態で先発出場できたと思われるが、MF安居海渡、MF伊藤敦樹、MF大久保智明、DF岩波拓也、DF酒井宏樹、GK西川周作の6人は連続先発となったため、個々のコンディションに留意する必要があった。

湘南は攻守転換が激しく、またピッチをワイドに使うアグレッシブな戦術を遂行するチームで、そのゲーム内容は大抵タフなものになる。ハイテンションな局面勝負、頻繁なダッシュが連続する展開は身体への負担が著しく、その結果、前半の浦和は一連のバトルで若干遅れをとる場面があった。しかし、その一見受け身な姿勢は浦和のゲームプランニングの一環だったようにも思う。

前半は湘南のペースでゲームが進んだ。サイドアタックを基盤に多人数が一気に押し寄せる彼らの攻撃には迫力があり、浦和は十全なディフェンスブロックを築いて対応する必要があった。

ただ、それでも浦和の守備は安定していた。ペナルティエリア内はGK西川、CB岩波&ショルツの3人でスペースを埋められていたし、サイドバックの酒井と明本考浩はサイドエリアを意識しながら、それでも味方CBとの距離を的確に保っていたように思う。またハーフレーンはボランチの岩尾&伊藤、そしてトップ下の安居が機敏に埋めて相手の侵入経路を塞いでいた。また湘南が得意とするサイドアタッカー&ストッパーのツープラトンサイドアタックへの対応はサイドMFの関根貴大と大久保が献身的に担っていて、味方サイドバックと共に同エリアでの劣勢を未然に防げていた。

そして守勢から攻勢に移り変わるギアアクションについては、前半の浦和はあえて自重していた。最前線で1トップのカンテが張る中で、如何に彼のポストワークを利用して中盤以下がスピーディに押し上がれるか。これにはトップ下の安居はもちろん、ダブルボランチのフォローアップも大事になるし、何よりサイドバックの果敢なオーバーラップが相手攻略の必須条件になる。しかし前半の浦和は上下動の激しいオープンプレーを繰り出さなかった。湘南と同じリズムでプレーすればスタミナが尽きる。それは湘南が今季のリーグ戦48失点中、後半に32失点しているデータが物語っている。ハイインテンシティを貫く湘南は必ず後半に失速する。浦和はそれを見越し、自らの過密日程も加味したうえで、前半自重、後半勝負のゲームプランを実行したのだと思う。

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