【島崎英純】ナビスコカップ決勝・鹿島戦レビュー(2011/10/30)

浦和レッズにとってナビスコカップは特別なものだ。

真っ赤に染まった国立競技場を見たのは8年ぶりのことだ。その時の浦和レッズは、当時常勝を築き上げていた鹿島アントラーズに大勝して、前年度同マッチで完敗した鬱憤を晴らした。

試合前に浦和サポーターを喚起する煽りの映像が流れる。それは屈辱から雪辱までの過程をナビスコカップ決勝戦のプレー映像を通して辿るものだった。小笠原満男のシュートが井原正巳の足に当ってボールがゴールに吸い込まれていく時間の長さを思い、栄冠を掲げる相手を羨望の眼差しで見つめた当時を憂う。そして翌年度の激闘では、エメルソンと坪井慶介が味方同士激突し、双方頭をバンテージでグルグル巻きにしながら、それでも闘志衰えず相手に向かっていく雄姿に心を躍らせた。畳みかけられるゴールラッシュ。山瀬功治が味方と抱擁し、エメルソンが飛び跳ね、田中達也が両手を天に突き上げた時、浦和の歴史は確かに栄光の時を刻んだ。

浦和レッズにとってナビスコカップは特別なものだ。このクラブが初めてタイトルを戴冠した大会であり、浦和の数々の選手がこの大会を通して成長を果たした。今大会が設定する最も活躍した若手に贈られるニューヒーロー賞にはこれまで、浦和から坪井慶介、田中達也、長谷部誠の3人が受賞し、今回は原口元気がその栄誉を得た。

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