「GELマガ」鹿島アントラーズ番記者・田中滋WEBマガジン

【コラム】3枚目を切れない石井采配。湘南戦でカイオ、鈴木優磨の次に切るべきだった交代カードは?(2015.10.26)

 就任当初は思い切った戦術変更や選手交代が見られた石井正忠監督に、監督業の本当の怖さがのしかかってきたようだ。交代カードの切り方は遅く、オーソドックスな選択が多くなる傾向が見られ、しかも交代は二枠しか使わないことも多い。監督自身、選手交代については「難しい」とこぼしていたが、湘南戦でもベンチワークで戦局を変える難しさに直面し、カイオと鈴木優磨というお決まりのカードしか切れず、0-2で折り返した後半で1点を返すことができたのは90+3分。反撃の狼煙を上げても、逆転勝利はほぼ絶望的な状況だった。

 石井監督が考えたことも確かにわからないではない。あまりにもひどい前半の姿は、逆に言えば本来の姿を取り戻せば後半に攻勢を仕掛けられることを意味する。そこで、ある程度の時間までは現状のままペースを取り戻すことに腐心し、勝負所で切り札のカイオを投入し、ラッキーボーイ的な存在となりつつある鈴木優磨を起用したことは理解できるカードの切り方だ。“定石通り”であり、タイミングの差異はあれど素人でもできた采配かもしれないが、交代で入った2人はそれぞれ決定機を迎えるなど一定の効果を見せていた。しかし、ゴールは決まらなかった。だからこそ、その状況を押し切って逆転に導く3枚目の交代は重要だったが、石井監督は動くことができなかった。

 

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