【無料公開】Jリーグクラブライセンス制度などに関する記者会⾒全文(2)
Jリーグクラブライセンス事務局の大城亨太クラブライセンスマネージャーが7月26日、秋田市のASPスタジアムで記者会見を開きました。大城さんはこの日、秋田県、秋田市、ブラウブリッツ秋田の3者とヒアリングを実施し、その後に記者会見の場が設けられた形です。主な内容は主に下記の4点。
- ブラウブリッツ秋田のクラブライセンスの現状把握
- スタジアムの施設基準の見直し
- シーズン移行に伴う降雪地域のクラブへの支援
- 質疑応答
この記事では4の質疑応答を掲載します。かっこ内は質問社です。
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–秋田県、秋田市、ブラウブリッツ秋田との打ち合わせを踏まえ、スタジアムの実現性の感触について。(秋田テレビ)
(スタジアムが)できるできないでいうと、できてほしいなというのが一番なんですけど、本日の打ち合わせで、打ち合わせというか進捗状況に関してヒアリングをさせていただいて、進捗状況としてはなかなか厳しい状況にあるとは思ってます。そういった主旨のことを秋田県、秋田市さんにはお伝えしました。
–厳しい状況とは着工時期、資金、事業主体などいろいろあると思いますが、すべてでしょうか。あるいは特定のものでしょうか。(秋田テレビ)
いろいろだと思うんですけど、(ヒアリングで)お伺いした内容は、きょうこの場でご説明はできません。たぶん皆さんがご存知の範囲でも、確定しているものはなにもない状況なので、そういった意味では、さまざまなことがまだまだなのかなという印象です。
–行政やクラブから示してほしいもの、求めるものについて。(秋田テレビ)
求めるものは完成までのスケジュールだと思います。また場所についても、事業主体についても確定はしていないと思いますので、そのあたりも、あらゆる面というとあれですけど、秋田県の方も秋田市の方も、ご担当の皆さんは一生懸命検討していただいていると承知はしているんですけど、なにか確定したものはないので、これを示してほしいというレベルにはまだないのかなという状況です。
–ライセンスが交付されない可能性もあるでしょうか。(秋田テレビ)
先ほど申し上げたように「新しいスタジアムを作るので屋根を免除してください」というのが2018年で、昨年度ですかね、2023年度の判定のときには地元でソユースタジアムの改修みたいな話も出てきていたので、「そういう前提で話は進んでないです」ということをあらためてめて自治体とクラブに確認して、ご意向を再度表明していただくってことをお願いしました。
それ以降も明確に決まったものはないのが現状なので、クラブライセンスの判定において最終的に判定をするのはわれわれJリーグではなくてFIB(クラブライセンス交付第一審機関)という第三者機関になるんですけれども、厳しい判定になる可能性はあると思ってます。
–これまでスタジアムの計画を話し合ってきて、また八橋に場所を移すことになると思います。そのことをJリーグ側はどのように捉えていますか。(河北新報)
場所がどこになるかはまだわかりませんけれども、一番の候補地になっていた外旭川エリアでも相当時間が掛かるというふうには伺っていました。地盤の問題とかが出てきたりして。
今回八橋という新たな候補地が出てきた背景としては、われわれの求めるスケジュールというか、なるべく早くというところに対応するためというのもひとつの理由だと伺っているので、その点ではありがたいお話かなと思ってます。
–クラブライセンス申請に関して、計画が二転三転しているのはマイナス要素になるでしょうか。(河北新報)
要素としてはマイナスだと思います。
–Jリーグとしてはいつまでにというスケジュールの目安がほしいのでしょうか。(河北新報)
現時点でスケジュールを区切ることは考えていないんですけれども、当然判定の議論のなかではそういった話も出てきていたりもします。現時点ではなにもないですけど、どこかのタイミングで「ではもう2~3年後にここまでに到達していないと進捗していないと判断します」というふうに設定する可能性はあるかなと思ってます。
–期限というのは直近ではなく少し先のイメージでしょうか。(河北新報)
来年急にというのは困ってしまうとは思うので、1年以上は先に設定するんじゃないかなと思います。
–スケジュールを区切るタイミングがあるとすればすぐではないとのことでしたが、今季のライセンスの判定で、スケジュールを理由に不交付になる可能性はそこまで高くないのでしょうか。(秋田魁新報)
いや、区切るという話と判定の話はちょっと別かなと思っています。新しいスタジアムを整備することを前提に特例を出しているので、現状においても整備される見込みがないと審査員が判断すれば、それはことし不交付になる可能性もあるかなと思います。
–進捗がかなり停滞している状況あるのはマイナスな印象でしょうか。(秋田魁新報)
最終的に判断するのは私ではないんです。皆さんが逆にどう思われているかお伺いしたいんですけど、停滞していると判断されて、厳しい判定結果になる可能性がないとは言えない状況かなとは思います。
–仮にソユースタジアムを改修するとなれば、いまの申請をなしにして、新しく申請をすれば別の話として認められるということでしょうか。(秋田魁新報)
そうですね。そのあたりは先ほど申し上げた、そもそもの前提が違ってきます。ソユースタジアムの改修に関してシミュレーションをしているわけではないので、実際そういうふうに地元が判断されて、われわれがそれをどう受け止めるかは、またちょっと考えなくてはいけないです。
大前提として、あのとき新しいスタジアムということで屋根を免除したので、6年経っていまさらというのは、理由としてはたぶん受け入れられないです。
加えて私たちの理想のスタジアムにも「フットボールスタジアム」っていう要件を入れています。「理想のスタジアムの4要件は中長期的には義務化します」っていうふうにお話をさせていただいているので、ソユースタジアムを回収して屋根をつけていただくのは地元のご自由ではあるんですけど、それが将来にわたって、細かく言うと屋根の減価償却ぶんぐらいの期間、Jリーグ、ブラウブリッツさんのホームスタジアムとして使えるかというと、われわれはフットボールスタジアムを義務化する方針を掲げているので、そうなったときには、立派な屋根をつけていただいても、ホームスタジアムとしては認められないということになりますので、おすすめはできないかなとは思います。
–4要件のうち「アクセスのよさ」の基準について。(秋田魁新報)
スタジアム基準のなかで、ホームタウンの中心地から大体20分で行けるぐらいのところに最寄りの駅とかバス停とか駐車場があるということを定めてます。アクセスに関してはなかなかカチッと定めることの難しさもありますし、地域によって車社会だみたいなこともあります。車社会であっても、アウェイのお客さんは車でいらっしゃらないケースが多いので、われわれとしては公共交通機関でアクセスできることを重視しているんですけど、ものすごく厳格に限定列挙して決めているわけではなくて、ケースバイケースの判断になると思います。一般的に、町の中心地からものすごく時間がかかるような場所だと認められないと思います。
–ことし開業した金沢の新スタジアムのように、緩和された基準を受けているスタジアムはあるのでしょうか。(秋田魁新報)
入場可能数基準の見直しについては、昨年12月の理事会で決議をして、実際は今年の2024年1月からのJリーグ規約で定めたものになりますので、まだこれの対象となるスタジアムはありません。なので、金沢は従前のルールに沿って整備されたスタジアムになってます。
–新設が大前提だと踏まえた上で、フットボール専用であるASPスタジアムの改修の可能性はあるでしょうか。(秋田サッカーレポート)
新設に限定しているものではないので、可能性としてはあるかないかと言えばあるかもしれないですね。
–フットボール専用であるASPスタジアムの評価について。(秋田サッカーレポート)
ソユースタジアムとの(比較しての)評価っていうのはあまり論点ではなくてですね。新しいフットボールスタジアムを、改修も含めてですけど、フットボールスタジアムを整備するということに合致するかどうかという点かなと思います。
ただ既存のスタジアムの改修でいうと、私たちもスタジアム整備をお願いしていてなんなんですけど、いまの利用者さんが、改修期間使えなくなると思うので、それをJリーグのためだけにやることがいいのかどうかっていうのは悩ましいかなとは思っています。
どの場所でもそうなんですけど、そこに既存の施設があるのであれば、いま使われてる方が困らないようにというか、Jリーグの理屈だけを振りかざして、そういった方々を排除しても整備しなさいっていうことまでは言いたくはないので、ここ(ASPスタジアム)の改修(の可能性)は理論上はありますけど、いま使われてる方への配慮は必要になると思うので、そういう意味では、難易度は高いんじゃないかなと思います。
ここ(ASPスタジアム)はいいスタジアムではあると思いますけど、私たちがJ1基準として求めるには、このスタンド自体、相当手を入れていただかないといけないので、費用面でもメリットがあるかどうかは、わからないなという感じですかね。
–2023年度のライセンス申請時から約1年で、新スタジアム整備の進捗の評価について。(NHK)
スタジアムに関して、意向表明っていう形で再度クラブ、自治体さんのご意向を確認させていただいたプロセスは昨年だったんですけど、このスタジアム問題に関しては、われわれは2018年に特例を出して以降、2019年、2020年もずっとウォッチをしてきていますので、そういう意味で去年から心配しているわけではなくて、ずーっと心配しているっていう状況です。
昨年と現時点の比較に関しては、ちょっときょうのヒアリングの内容にも関わるので、細かい感想みたいなものは申し上げづらいんですけど、先ほど申し上げたように、厳しい状況であるってことはお伝えさせていただきます。
–特例の期間はJリーグ側から設定していないのでしょうか。(NHK)
そうですね。なので現時点の状況で、審査員の先生方が「これはもう構想として動いてない」とご判断されれば、新しいスタジアムを作るのでという大前提が止まってることになるので、厳しい判断にならざるを得ないかなと思います。
–新スタジアム整備をめぐって特例がなくなり、クラブライセンスが交付されなくなる事例はないのでしょうか。(不明)
屋根の設置を免除するという特例は、秋田以外に鹿児島と琉球も同じ状況にあるんですけど、この特例に関連して不交付になった事例はまだないです。
–クラブライセンスが不交付になった場合、どのようなことが起こりうるのでしょうか。(秋田サッカーレポート)
不交付になる場合は、これも可能性の話なので申し上げづらいんですけど、J2ライセンスか、J3ライセンスが交付されるかもしれないし、されないかもしれないです。
–J3のライセンスも不交付かもしれないのでしょうか。(秋田サッカーレポート)
考えにくいんですけど。(可能性としては)はい。
–秋田のように懸念のあるクラブはどれくらいあるのでしょうか。(秋田テレビ)
鹿児島もそうなんですけど、懸念というか、クラブライセンスの昨年の判定後に、FIBの審査員の名前で決定書というものが各クラブに通知されます。そのなかで「秋田、鹿児島、琉球の3クラブに対しては、スタジアムの進捗状況をJリーグから随時ヒアリングをします」という注意書きというか、そういったものが付されているので、懸念という表現があれかもしれないですけど、この3クラブに対しては秋田と同じように、進捗状況の確認を行っている状況です。
–クラブライセンス事務局の役割について。(秋田テレビ)
役割としては、クラブとのコミュニケーションの窓口と言いますか。たとえば申請書類は、この施設基準以外にも、クラブライセンスは大きく5つの領域があって、競技基準、施設、人事体制、組織運営、法務、財務っていうそれなりの量の申請書類を出していただきます。それを審査員の先生方が直接見るのではなくて、Jリーグの方で一旦受け止めて、整理をして、ご報告をして、判定をしていただく役割になります。
–クラブライセンス事務局のスタンスについて。スタジアムを前に進めるというものでしょうか。中立でしょうか。(秋田テレビ)
スタジアムのできるできないで言えば、できてきてほしいので、そういった動きはしたいなと思うんですけど、判定に関してはわれわれがジャッジするものではないので、そういう意味では中立なんですかね。
–秋田のJ1クラブライセンスは不交付になったが、J2は認めるという結果になった場合、強制降格にはならないでしょうか。(秋田魁新報)
J2ライセンスが交付された場合は、いまJ2リーグにいらっしゃるので、ちょっとややこしいんですけど、ことし判定するのは来シーズンのライセンスなので、昇格ができないクラブになる形になります。J3ライセンスが交付された場合は、来シーズンはJ2にいられないので、降格してしまう形になります。
–J2ライセンスが交付される可能性はあるでしょうか。(秋田魁新報)
J2ライセンスが交付される可能性はあります。
あるんですけど、やっぱり難しいのは、いまソユースタジアムは、基準でうとJ1基準のスタジアムなんですね。ただ屋根で特例をしているので、そういう意味ではちょっと中途半端な存在になってしまっています。
特例が認められないとなると、ほかの施設以外の分野のジャッジもあるのであれですけど、J2ライセンスが交付されるかもしれないんですけど、秋田はこの特例を使ったときにはJ2ライセンスを取得して、そのあとにJ3から昇格した経緯があります。
いまのソユースタジアムはJ1基準なんですけど、特例を受けたときはJ3クラブがJ2ライセンスを取るときに特例を受けたので、そこまでさかのぼると、J2ライセンスの交付がどうだったんだという議論になるかもしれないので、そういう意味ではJ3ライセンスになる可能性もあるということです。
–これまで施設基準でクラブライセンスが不交付になった事例はあるでしょうか。(秋田魁新報)
この特例ではないんですけど、施設基準で不交付となった事例はございます。FC大阪さんは競技基準だったんですけど、鹿児島さんだったかな。2015年か16年に施設基準の未充足でJ2ライセンスが取れないということがあります。(※正しくは2016年 下記リンク先参照)
–何十億という多額の税金を使って、ひとつの競技のためだけに使えるスタジアムを建てるという住民の受け止めもあると思います。人口が減って建築費も上がっていくなかで、でも基準としてはこれだけのものを作ってくださいというお願いがあります。Jリーグとしては、地域にどのような還元ができると考えているでしょうか。(河北新報)
にこやかな笑顔で鋭いご質問なんですけど、(還元は)2つあると思っています。
ひとつはハード面で申し上げると、コストセンターというか、いまブラウブリッツさんが立てられているプランだと、ランニングもなかなか簡単じゃないと出てるんですけど、そこは場所によっても、スタジアムに備えられる機能も変わってくるのかなと思ってます。ほかの地域では、ランニングはけっこういろんな機能を組み合わせることで回っているスタジアムもあります。スタジアム自体に税金を投入して、それを垂れ流すような施設にはならないように、われわれとしても、いろんな事例を共有しながらサポートしないといけないかなと思います。
Jクラブが主要のテナントというか利用者にはなるんだと思うんですけど、と言ってもリーグ戦は年間20試合とか30試合とかなので、それ以外は地元の皆さんに使っていただく施設になるべきだと思ってます。そういうハード面でも必ずしも経済的に事業性としてマイナスばかりじゃないと思いますし、利用面でもいろんな方に使ってもらえる施設になるべきだと思ってます。
ただイニシャルを回収できるほど回るのかというと難しいところもあるとは思います。そこはクラブの価値みたいなところもあるのかなと思っていて、アウェイからお越しいただく方のスポーツツーリズムの観点もあるかもしれないですし、地元にプロチームがあって、戦いを繰り広げていることで、いろんな活性化の観点もあります。スポーツ庁さんのほうでもそういう社会的価値の可視化にも取り組んでいただいてます。われわれとしてもその価値を信じているので、マイナスな話ではないのかなと思ってます。
クラブがJリーグへの入会を決めるときには、ホームタウンの自治体の首長さんからも一緒にやっていくってことを表明していただくんですけど、たぶん価値を感じていただいて、秋田市さん、秋田県さんもJクラブを地元にっていうふうに動いてくださったと思います。そのあたりの価値は皆さん感じていただきながら進めてもらってるんじゃないかなとは思ってます。
–きょうのこの会見について。ヒアリングの流れでの開催でしょうか。各クラブを回っているのでしょうか。(不明)
いや、たまたまというと集まっていただいた皆さんに申し訳ないんですけど。東京でJリーグの理事会後の会見を毎回チェアマンが行っていて、私も担当領域のときには説明するんですけど、秋田のメディアの皆さんにご質問をいただくことがけっこう多かったので、直接こういうやり取りをする機会をいただきたいなって前々から思っていたんです。
今回、秋田県、秋田市と打ち合わせをさせていただくことになったので、そのご報告っていうことではないんですけど、来る機会があったので、お集まりいただいて、皆さんのご不明点も解消していただきたいなと思って設定させていただきました。行く先々で毎回やってるわけではなく、けっこうレアです。
–降雪地域への支援の話がありましたが、東北などを回っているわけでもないでしょうか。(不明)
そういうわけではないです。
降雪地域への対応については、このお話をしたときに、もうちょっとリーグ内での議論が深まって「こういう支援をします」と言えればいいなと思っていました。そこはちょっとクラブの皆さんに怒られてるんすけど、われわれのほうでまだ煮詰まっていないので、ごめんなさい。きょうはあんまりご報告できることはなかったです。