【無料公開】令和6年度第6回新スタジアム整備協議会における秋田市の説明と岩瀬浩介社長の囲み取材
令和6年度第6回新スタジアム整備協議会が3月14日、秋田市役所で開催。出席者はJリーグクラブライセンス事務局(オンライン)、県スポーツ振興課、市スポーツ振興課、市まちづくり戦略室、ブラウブリッツ秋田。協議会は非公開。
メディアが撮影のために入室を許された冒頭のあいさつで、ブラウブリッツ秋田の岩瀬浩介社長は「サッカーだけでなくさまざまな事業を展開して秋田の地域活性化に取り組みたい」と話しました。
岩瀬社長のあいさつのあと、秋田市の担当者が新スタジアム整備に向けた以下の考え方を説明し出席者が共有しました。
今回の記事では秋田市の説明と、協議会後の岩瀬社長の囲み取材の内容を掲載しています。秋田市の説明に際して参照した資料はメディアには公開されなかったため、掲載内容から想像してください。
新スタジアム整備に関する秋田市の考え方
昨年の11月に整備を八橋運動公園とすることを、県およびブラウブリッツ秋田と、事業主体や事業手法、自己負担のあり方など今後3者で具体に検討を進める上でのたたき台となる本市の考え方をまとめ、1月30日の市議会閉会中総務委員会において内容をご説明したところであります。
本日は当委員会や2月市議会の代表質問、一般質問、一昨日に開催された総務委員会のご意見を踏まえ、本市の考え方を県およびブラウブリッツ秋田に提案をさせていただきます。それでは資料に基づきましてご説明いたします。はじめに1の事業主体をご覧ください。
新スタジアムは、秋田市が主体となり整備したいと考えており、その理由はカッコ1からカッコ3まで整理しております。はじめにカッコ1の施設の位置づけであります。
八橋運動公園は市の都市公園であり、本市のスポーツの拠点として、また市民の憩いの場として親しまれております。一方、新スタジアムはJリーグの公式戦のほか、秋田ノーザンブレッツの試合や中高生の大会など、プロからアマチュアまで幅広い年代が利用でき、さらに県民市民の健康増進につながるイベントをはじめ、多目的な活用が可能で、防災機能を備えた公共性の高い施設であることが求められております。
次にカッコ2の有利な財源の活用であります。都市公園に公設で整備する場合、国の補助制度などの活用が期待できるほか、PFIなどの官民連携の手法による整備も可能となります。
次にカッコ3八橋運動公園の利便性の向上であります。市有地である市文化会館としての一体的な利活用を行うことで、公園全体の利便性の向上を図ることが可能となります。このように、同公園内に新スタジアムを整備することで、さらに公園機能の充実を図ることができると捉え、本市が事業主体となり、カッコ4、今後の進め方に記載のとおり、令和7年度に新スタジアム整備基本計画を策定したいと考えております。
次に2の事業手法についてであります。表をご覧ください。財政負担の軽減など4つの項目について、従来手法とPPP/PFIを比較整理したものであります。
1段目の財政負担の軽減については、従来手法に比べ、PPP/PFIのほうが一括発注性能発注を行うことにより、財政負担の低減が期待できます。2段目の財政支出の平準化についても負債や民間資金を活用することで、初期段階での財政支出の抑制が見込まれる点です。PPP/PFIのほうが有利であると考えられます。次に3番目の民間のノウハウについては、従来手法では仕様発注となるため、民間のノウハウを期待することが難しい一方、PPP/PFIでは、設計施工維持管理運営を一体的に民間に委ねることで、民間の技術力やノウハウを最大限に活用できるメリットがあります。
最後にスケジュールについては、従来手法での設計施工維持管理運営を個別に発注するため、その都度公募契約手続きなどが必要となります。一方、PPP/PFIにおいては、導入可能性調査などで一定の期間が必要となりますが、全体としては従来手法に比べ、PPP/PFIの方が有利であることから、事業手法については、PPP/PFIなどの官民連携の手法を基本にしたいと考えております。
また実現性についても昨年11月に事業発案の段階として参加した国土交通省主催のヒアリング調査において、民間事業者から高い関心が寄せられたことからも、本県でもPFIはじゅうぶん成り立つものと考えており、具体的な手法について、令和7年度の導入可能性調査において検討したいと考えております。図面をご覧ください。
3、施設規模についてであります。スタジアム基準の改定による入場可能数の緩和を受け、5,000人以上を基本としつつ、ブラウブリッツ秋田の将来的なJ1昇格も視野に、1万人規模のスタジアムを目指したいと考えております。
また、同基準においては将来的な観客席の増席可能性が必要とされていることから、どれだけの拡張性を備えられるかについて、基本計画を策定する過程において、必要な面積や事業費などを勘案しながら検討してまいります。
次に4、機能についてであります。新スタジアムは多くの県民市民がアマチュアスポーツを初め様々な用途で活用できる多機能多目的な施設とし、Jリーグ基準を踏まえて、すべての観客席を屋根を設置したいと考えております。具体的な機能については、基本計画を策定する過程で検討してまいります。
次に5、費用負担についてであります。新スタジアムについては、県が設置したスタジアム整備のあり方検討会検討委員会以降、県などと整備に向けた検討を行ってきたものであり、公共性が高いスタジアムを目指すことを前提に、秋田市と同等の負担を県に要請したいと考えております。またこれまでの経緯を踏まえ、ホームスタジアムとして活用するブラウブリッツ秋田と連係して、秋田商工会議所をはじめとする経済界や関係団体が幅広く協力を依頼し、民間資金の確保に務めることとします。具体的な負担割合や金額などについては、基本計画を策定する過程で、設置規模や事業費などを踏まえ検討してまいります。
次に6、財源についてであります。財源として国の支援制度などを最大限活用したいと考えており、企業版ふるさと納税などを含め、民間事業者からの寄付を広く募り、財政負担の低減を図ることとし、基本計画を策定する過程において、活用可能な国の補助金などについて検討し、関係機関と協議してまいります。
いまご説明した1から6の考え方を基本として、令和7年度に県やブラウブリッツ秋田をはじめとする関係者で協議する場を設け、新スタジアム整備基本計画を策定できればと考えております
協議会後の岩瀬社長の囲み取材
–秋田県やJリーグの反応について。
まずリーグに非常に評価をいただいた内容だったかな思っております。そういったお言葉もいただいた次第です。
県としては細部をもう少し確認したいことがあるので、事務局サイド同士で確認をさせていただく形でいったん持ち帰っていただいた内容です。
–細部とは費用や時期でしょうか。
そこはわかりません。
–スケジュールや費用などの話し合いはありましたか。
(協議会の)内容的には、多くの方々が、それはサッカーだけではなく県民市民の方々に利用できるいわゆる公共的な施設という位置づけで、市が主体となってやっていくということを、クラブそして県に承諾をいただかない限りは、その後の整備のスキームですとか、資金の調達の仕方ですとか、そのへんに入っていけないかなというお話がありました。
ここに対してクラブとしては、今回いただいた提案というのは、これまで重ねてきた議論の積み重ねの結果として、秋田市さんにクラブ代表として心から感謝をして、お礼もお伝えした次第です。まずはそこの部分をはっきりとさせてきたなかで、これから具体的な検討に入っていけるのではないかなと思ってます。
–費用について。サポーターのクラファンなども考えていますか。
そうですね。そこに関しては私たちも準備をしております。しかるべきタイミングで発表できるかなと思っています。
3日前ですか、知事に訪問した際にもアドバイスとして、そういったことで県民の皆さんのムードを集めていく。金額の大小ではなく、県民全体でというような形のムードを広げていくためにも、われわれ自身も必要かなというふうに感じております。しっかりとそこはしかるべきタイミングで発表ができたらなと思っております。
あとはご存知のとおり、練習場そしてクラブハウスが、おかげさまでああいった形で整備できました。実際に今年度末までの企業版ふるさと納税の事業で、まだ総事業費すべて集まっておりませんが、およそ3月の決算の方々のご意向をいただいている限りでは総工費が5億円。個人向けのクラウドファンディングでも3,600万円程度集めていただきました。 そこがすべてクリアになってくるかなと思います。
ある意味この部分に関しては、私たちが今後の民間資金の調達で、市民県民の皆さんそして市議会県議会の皆さまからすると「ブラウブリッツはどうやって集めるんだ」「一体いくらぐらい集められるんだ」という部分の大きな根拠となる実績になってくるかなと思っております。最後までしっかりと集めて。
何度も申し上げますけれども、しかるべきタイミングで皆さまに「これぐらいの金額は民間ではしっかりと集めて、新スタジアム整備に充当していきたい」というところはお話できるのではないかと思ってます。
–集められる目標金額を出すということでしょうか。
どこまで具体的な金額を出せるかというのはありますけれども、最低でもこのクラブハウスと練習場を超える金額というのは、実績ではございますので。先ほどお話したように、もっと広くサポーターの皆さまからも集められる手法をさまざま取っていきながら。 知事からのお話のとおり、ムードを盛り上げていきたいなと思っています。
–Jリーグの評価について。
これまでの議論をわれわれも報告はずっとさせていただいておりました。 いままでの議論で進めてきた内容が具体的なものとして秋田市さんからご提案があったということも含めて評価をいただいた次第です。どれが(評価されたのか)と言われても全体的にとしかちょっと言いようがないかなと思っておりますが、ひとつ挙げられるとすれば公共性。サッカーだけではなくさまざまなスポーツ、そして多くの方々の憩いの場になるような公共的なスタジアムという位置づけのなかで、市が主体となってといった部分は非常に評価をいただいた次第です。