【島崎英純】2025Jリーグ第10節/FC町田ゼルビアvs浦和レッズ・試合レビュー『真骨頂のゲームデザインで圧倒。今後の指針になる価値ある勝利』

©Yuichiro Okinaga
確信的な戦略
マチェイ・スコルジャ監督が周到に用意したゲームプランはFC町田ゼルビアに強烈なダメージを与えた。今週のトレーニングで別メニュー調整だったチアゴ・サンタナがベンチからも外れた影響もあっただろうが、1トップに松尾佑介を配することでチームが求める指針が定まり、町田はその対処に追われた。
浦和は自陣からのショートパスビルドアップに拘らなかった。町田は局面でのタイトプレーを全面に押し出すチームであり、浦和が自陣深い位置でボールロストすれば単純明快なダイレクトプレー、もしくはクロスワークで畳み掛けてくる。そこで浦和はまず、敵陣へボールを送ることを第一選択とし、そこからのセカンドボール回収、もしくは直線的なカウンターアタックで相手ゴールへ向かうプランを立てた。そして、その任務を遂行するうえで圧巻のスピードを有する松尾が最前線に立ったことの影響度は大きかった。虎視眈々とスペースへのランニングを目論んだ松尾に対し、町田のリベロ・岡村大八、そして両ストッパーの昌子源とドレシェヴィッチの3バックは相応のプレッシャーを受けて後傾にならざるを得なかった。プッシュアップできない相手3バックを尻目に、今試合で満を持してトップ下を務めた渡邊凌磨、両翼のマテウス・サヴィオ&金子拓郎、そしてサミュエル・グスタフソンと組んで自然に押し上がる状態になった安居海渡らのMF陣が着実にセカンドボール回収を目論んだ。
もしサンタナが先発していたら、ハーフウェーライン付近でポストワークしたい彼が相手3バックを引き連れて逆に相手のプッシュアップ、すなわちチーム全体のコンパクト化とセカンドボール回収態勢を整えさせてしまっていたかもしれない。一方で松尾は常に相手ゴールを強襲する姿勢を保ち、相手3バックとダブルボランチ+両サイドアタッカーで形成されるミドルラインとの距離をストレッチさせた。浦和のセカンドボール回収が成功の頻度を高めた理由はこのように、1トップの裏抜けとMF陣のプッシュアップによって果たされたコンパクトネスが一因だったと見る。
【2025Jリーグ第10節/FC町田ゼルビアvs浦和レッズ・スターティングメンバー】
(残り 3962文字/全文: 4953文字)
この記事の続きは会員限定です。入会をご検討の方は「ウェブマガジンのご案内」をクリックして内容をご確認ください。
ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。
会員の方は、ログインしてください。
タグマ!アカウントでログイン
- « 次の記事
- 『浦和レッズ、FC町田ゼルビアを撃破! このまま上位に向かっていくLIVE!』/4月14日(月)21時スタート! 22時頃からは会員限定ライブも配信致します!
- 前の記事 »
- 『各々が個性を発揮し、チーム力をも示す』2025Jリーグ第10節/FC町田ゼルビアvs浦和レッズ・浦和レッズ全選手採点
外部サービスアカウントでログイン
Twitterログイン機能終了のお知らせ
Facebookログイン機能終了のお知らせ