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【第27節YS横浜戦レビュー】自力優勝の可能性に再び火を灯す会心の勝利。「正義は勝つ」に込められた激情

前回対戦時の監督会見にて

まずは626日に行われた明治安田J313YS横浜戦の試合後に相手指揮官が述べた冒頭の言葉を紹介したい。

「めちゃくちゃうれしいです。めちゃくちゃうれしいです。というのも、やっぱり最後、正義は勝つなというところで、本当に勝てて良かったです」(シュタルフ 悠紀 リヒャルト監督)

 

新進気鋭の指揮官は興奮気味にそう話し、岩手のラフプレー、審判団のレフェリングを糾弾した。内容的にはYS横浜の完勝といって差し支えないだろう。岩手はプレスをことごとく回避され、劣勢に立たされた。それでもなんとか無失点に抑えていたが菊谷篤資のFKと終盤のカウンターで2失点。20YS横浜が岩手に勝利を挙げた試合だった。

シュタルフ監督が就任以降、岩手とYS横浜の試合は荒れる。ともに球際にフォーカスしたスタイルではあるが、一方でそれをエクスキューズとしているかは定かではないものの、両チームがヒートアップし、立ち居振る舞いを含めてフェアプレーに欠ける部分があるのも事実だ。

岩手にとっては内容を含めて、おそらく前半戦でいちばん悔しさが残ったであろう試合。この伏線は約5ヶ月の時を隔てて、舞台を横浜市三ツ沢公園陸上競技場に舞台を移し、回収されることとなった。

 

試合でも会見でも意趣返しをした秋田豊監督といわてグルージャ盛岡

結果から振り返ると、3-1のスコアで岩手が完勝と言っていい試合内容をみせ、見事なリベンジを果たした。そして試合後の会見で秋田豊監督が選んだ締めの言葉はどこかで聞き憶えのある「正義は勝つ」。

秋田監督は現役時代のイメージからか熱さ、闘争心という部分が強調されがちだが、2年間取材した身としては、むしろ極めて冷静でニュートラルな性質を持っていると感じる。もちろん、試合中は大きな声で指示やアピールをするが、それはただ一つ、勝利に向けてのアクションだ。試合後の会見でも感情の起伏はほとんどみせないし、トレーニング後の取材でも記者と笑い合うなど、和やかなムードで話してくれる。それだけに、意趣返しであろうこの「正義は勝つ」という言葉は内包した感情が発露した珍しいシーンにも映った。ただ、裏を返せばそれだけ前回対戦の敗戦に忸怩たる思いを抱いていたのだろうし、昇格に向けて佳境を迎えているこの状況で、仇敵に完勝した気持ちの昂りがそのまま表現されたのだろうと推測する。

 

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