同じ展開にも揺れず、多少の悔しさを晴らす全員の勝利/【レビュー】J1第14節 広島対鹿島
勝利の瞬間、ランコ・ポポヴィッチは体の前で両拳を握りしめて喜びを爆発させていた。ピッチに目を向けると、失点につながるミスをした知念慶がシャツの裾を頭にかぶって目頭を押さえている。もしかしたらなにか込み上げてくるものがあったのかもしれない。側にいた早川友基はそっと知念の肩を叩く。
苦しい試合だった。ノートを見返すと前半25分くらいから、ずっと押し込まれる展開だったことが記されていた。前半の早い時間帯で2点をリードするまさかの展開は、前節と全く同じもの。知念のパスミスから1点を返され、嫌な雰囲気が流れるなか、佐野海舟とチャヴリッチで相手を突き放す。
「前節で苦しい展開にしてしまったんで、今回は失点した後もチームは全然ばらけてなかったですし、チーム全員がしっかりやるべきことを、交代選手含めてやりきってくれたんで、本当にチーム全員でつかみ取った勝利だと思います」
超人的なパフォーマンスを見せた佐野は、いつものように静かに試合を振り返る。しかし、伏し目がちだった前節とは違い、その顔は真っ直ぐ正面を向いていた。
悔しい経験を全員で乗り越えた見事な勝利だった。
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