【トピックス】スーパープリンスリーグ東北2020開幕。新体制の山形ユースが公式戦初勝利を飾る
8月29日、30日にスーパープリンスリーグ東北2020が開幕。グループAのモンテディオ山形ユースは、30日に聖光学院高校と対戦して3-0。今年から就任した内山俊彦監督の初陣を快勝で飾った。
コロナウイルス感染症の影響で中止となっていた東北プリンスリーグは、同じく中止となっていたユースプレミアリーグと合わせて地域毎にリーグを再編成。今年は「スーパープリンスリーグ2020」として規模を縮小し開催することになっている。
スーパープリンスリーグ東北は、昨年度のプレミアリーグ覇者青森山田高校の1stチームと東北2種からブラウブリッツ秋田を組み込んだ12チームを2グループに分けて1回戦総当たりで対戦した後、2グループの同じ順位同士で対戦して順位決定戦を行う方式になった。
グループリーグ5試合が8月下旬から9月下旬まで、順位決定戦が10月上旬という短期決戦の大会。例年のような年間を通して戦うリーグ戦というよりもカップ戦に近い方式ではあるが、「難しい状況が続いている中で、こういう試合を開催してくれることに皆感謝しながらプレーしている」(生井蓮丸)と、選手たちが今年の大きな目標の一つにしている大会だ。
モンテディオ山形ユースとしても今年就任した内山俊彦監督が初の公式戦、さらにチームも今年初の公式戦ということで、試合開始から硬さも目立って慎重な試合の入りになった。
大きなピンチこそなかったものの、ボールを持たれる時間帯もあった中で、徐々にボールを握るようになると、前半33分に先制。センターバック岩崎俊輔からのロングフィードに抜け出した情野依吹がボックス内でキーパーに倒されてPKを獲得。そのままPKスポットに立つと、落ち着いてゴール右に決めた。
この先制ゴールで緊張が解けた山形ユースは、42分に前田聡良のヘディングシュートなどチャンスも作って前半を折り返す。
後半、入りはやや均衡した展開になっていたが、12分に山形ユースが追加点。アンカーの大橋円人が中盤で前を向いてドリブルで運ぶと、先行して動き出した飯野義介へのスルーパスが通り、左足でゴールネットを揺らす。29分にも右サイドライン際のクロスから中央で情野がシュート。キーパーが弾いたこぼれ球を須藤渉が押し込んで3-0、終盤は攻め込まれたものの、3点のリードを守りきっての快勝となった。
内山新体制になってからのサッカーは「ボールを大事にして握ることは取り組んでいて、あとは状況に応じて、ポゼッションもビルドアップもできるし、カウンターも打てる。その状況に応じて一番良い選択ができるように意識しています」(内山監督)というもの。
昨年までのチームよりもボール保持率を高める試みが多く、後ろで回すだけでなくセンターバックを中心にバックラインから大きな展開ができるのも今年のチームの強み。1点目のようなロングフィードからの攻撃もあれば、2点目の中央での速攻からスルーパスも出るし、3点目のようにクロスからのゴールもある。
「『背後のアクションがあってから手前が空くんだよ』ということを入れながら相手を広げてプレーする」(内山監督)というボールを握りながらもピッチを幅広く使って攻めるのが攻撃のスタイル。その中でフィード、スルーパス、クロスと複数パターンで得点できたことはこのチームにとってひとつの自信につながるだろう。
短期決戦のリーグ初戦、チーム初の公式戦で勝てたことで勢いにも乗れるはず。次節、9月6日の第2節ベガルタ仙台とのユースみちのくダービーに向けても大きな弾みとなったはずだ。
- 情野依吹。序盤はボールが入らなかったが、「裏の動きはずっと狙っていた」というPK獲得からのゴールでチームに勢いを付ける。その後は自身の動きも良くなりボールを受けてサイドでどんどん運べるようになった。
- この日キャプテンマークを巻いた生井蓮丸。今年はチーム・ゲームともにキャプテンは監督から指名されておらず、正式に決まってはいない。その中で「ずっと試合に出させてもらっていた自分かなと思った」という1年生からプリンスに出場している生井が立候補。カバンからキャプテンマークを取り出して「巻きたいです」と名乗り出たという。 センターバックから好フィードを連発し、チームも上手くまとめていた。
- 2点目のゴールを決めた飯野義介。2列目からの動き出しが多かったもののチャンスは少なく、それでも抜け出した場面ではキーパーの位置を見てしっかりとゴールを決めた。
- 右サイドバックに入った西塔秀人。ショートパスやフィードで前線にいいボールを供給していた。
- 3点目のゴールを決めた1年生の須藤渉。副審の方を見ているが、実はこの場面、一度副審の旗が上がってオフサイドとなっていたが、主審と副審で協議した結果、判定が覆ってゴールが認められている。シュートの前のクロスの際に聖光学院のディフェンダーがライン際でスライディングして残っていた。 「速いんすよ」(内山監督)というように動き出しの速さと量があり、だからこそこぼれ球に絡めたゴールだ。
- アンカーの大橋円人。バックラインに加わってのビルドアップだけでなく、前を向ければドリブルで運んでチャンスメークも、アシストで結果を残した。
文・写真 嶋守生