【頼コラム】甲府戦に佐々木勇気六段。そして将棋コラボを楽しんだ大宮サポさんの話。
今季第2弾の将棋×サッカーコラボイベントは、9/15の甲府戦で開催!既に日本将棋連盟、天童市のホームページでは発表になっていたが、モンテオフィシャルにもイベント概要が掲載された。
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注目の参加棋士は広瀬章人八段、村山慈明七段、佐々木勇気六段、佐藤真一五段と、いつもながら豪華な顔ぶれ。レギュラーの野月浩貴八段が一回休みなのは激痛なのだが、来場実績のある3人に加え、話題の佐々木六段がついにND初登場。なにが話題って、この方、昨年日本中に将棋ブームを巻き起こした藤井聡太七段の連勝記録を29でストップした人である。とはいえ、この対局で一躍脚光を浴びたのは事実なのだが、それを別にしても、もともと将棋ファンからは注目され人気のある棋士だ。なにしろジュネーブ生まれだし、フットサルでは後ろを顧みずに攻めまくるし、座敷童子だし、升田幸三賞だし(興味のある方は名前とキーワードでググって!)。今後タイトルを狙える若手棋士の一人なので、「佐々木先生を間近で見てみたい」というだけの動機でも十分。ぜひイベントを覗きに来てください。そのままユーキストになってしまっても責任は負いませんけど。
さて、モンテディオ山形の将棋×サッカーコラボイベントも今回で11回目となる。山形サポーターはもちろんのこととして、アウェイサポーターが将棋に魅かれてやって来て、楽しんで帰ってくれるのもまた嬉しい。前回、5月に行われた大宮戦でのイベントでは、オレンジのユニフォームを着た男性が二人、指導対局を受けていた。指導対局には事前の申し込みが必要なので、応援に来てたまたま将棋を指したというわけではない人たちだ。
宮本広志五段の指導を受けていた人は、普段から東京将棋会館に通う将棋好き。「実は昨年11月の岐阜戦のイベントにも参加した」と言うので、思わず「大宮サポさんですよね?」と確認してしまったのだが、前日に仙台vs大宮戦があったのだと聞いて納得。将棋のために仙台から山形に寄ってくれたというわけだ。今年は晴れて(J2降格は不本意だろうけれど)自分のチームの応援と将棋のために天童を訪れた。駒も購入したそうである。
もう一人は阿久津主税八段を相手に指していた。昨今の将棋ブームで、子どもの頃に指していた将棋の楽しさを思い出したらしい。「指す方は全然ですが、観る方で追いかけている」と言う。大宮の試合は基本的にホームもアウェイも駆けつけるコアサポだが、この試合は少し迷っていたそうだ。遠征の背中を押したのが将棋だったというからありがたい。「阿久津先生は優しいですね。2枚落ちでしたが、だいぶ教えていただいて、勝たせていただきました」と恐縮していたその人は、キックオフの時間を気にして走り去った。
前回は公開対局やトークショーの後に指導対局が行われたことも影響したのか、指導対局を“観戦”するギャラリーも、いつもより多かったように思う。コラボイベントを始めた頃は、「何やってるの?将棋?ふーん」と通り過ぎてしまったような人も、今ならば「将棋?ちょっと見てみるか」となっているのかもしれない。ちょっと近づいてみれば、パチパチと駒音が聞こえてくる。側に立ってしばらく見ていると、指し手に迷う人たちの思考が圧縮された空気のようになって、その場を覆っていることに気づくかもしれない。息苦しさを感じたら、プロ棋士の指先を見るといい。盤上の駒を持ち上げて、別の場所に移動して置く、ただそれだけの所作が美しい。
サッカーを観に行って、将棋に触れて楽しむ将棋×サッカーコラボイベント。今年はこれが最後の開催になる。たくさんの方に、ぜひ。

今年5月、大宮戦にて行われた将棋×サッカーコラボイベントでの指導対局の様子。阿久津主税八段の指導を受けていた大宮サポーターは、キックオフの時間が迫るギリギリまで考え続けていた。
文・写真:頼野亜唯子
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