子供たちと相撲を取る理由は? 夢クラス@天童市立第三中学校

壇上で生徒と相撲を取る松岡。昨年、上山小学校の夢クラスでも相撲を取っていたが、「相撲は子供たちのウケがいい」(松岡)らしい。入場時は笑っていいともでタモリがやっていた拍手の締めもやっていた。
モンテディオ山形の夢クラスが山形県内各地で行われた。今年3度目となる今回は、高畠町立高畠小学校、河北町立谷地南部小学校、酒田市立南平田小学校を訪問。そして夢クラスではクラブ初の試みとなる中学生を対象としたキャリア教育授業も行われ、天童市立第三中学校の一年生121名を対象に「働くこととは」をテーマにパネルディスカッションが行われた。
その天童三中を訪問したのは、松岡亮輔と古部健太。二人とも高校の教員免許を持っているが、黒板の前での授業ではなく、体育館の壇上で話す形式。
当然真面目な話が中心となるが、それだけに終わらないのが松岡亮輔。まずはと見せたリフティングのデモンストレーションでは、早速サッカー部の生徒を壇上に上げると一緒にボールを蹴り、その後は古部と1対1の勝負をけしかける。「勝ったらユニフォームをあげる」と乗せるあたりも盛り上げ上手で、その後は自らも対戦した。

ドリブルで抜こうとする生徒に身体を入れてボールを奪う古部。何かと松岡が目立っていたが、古部も負けずに盛り上げていた。
パネルディスカッションに入ると、「この頃どんな職業に就きたいと思っていたか」「サッカーでご飯を食べようと思ったきっかけは?」といった、中学生時代に考えていた仕事についての質問が振られる。
「将来就きたい職業がまだ決まっていない、考え中という子どもたちに向けて」のアドバイスでは、二人とも「まだ決まってなくてもいい」と回答。その上で松岡は「今の時代は好きなことを職業にできるから、決まっていなくても焦る必要はない。大事なのは無気力かそうでないか。無気力に何も決まってませんではなくて、子どもから大人になる中で、気力のある生活をして欲しい」とメッセージを送った。
松岡はお礼の言葉を述べようと壇上に上がった中学生を相手に相撲をとろうとするなど、真面目に話をしながらも笑顔を絶やさない、コミュニケーション重視の夢クラスを演出。記念撮影終了後には生徒に囲まれて、惜しまれながら学校を後にした。
「本当は一回に限らず、年に二回、三回とやりたいんですよね、一つの学校に絞って。俺たちもモンテディオ山形も親しみやすいんだよと知ってもらってから、本番の夢を伝えるとか、プロの在り方を伝えるものだと思うから。だから小学校でも中学校でも今日は触りで、ここからもっと夢や仕事の話をして詰めていきたいんですよ。そうすればもっと響くんじゃないかなと思うんです」

仕事についてのパネルディスカッション。「うまくいかない時期や不安になった時はどう乗り越えたか」という質問に、「サッカーが上手く行かないときでも、好きだからうまくなりたい、調べる、考えるを繰り返す。根底にあるのは好きという気持ち」(松岡)「僕は同級生や対戦相手に負けたくなくて、すごく負けず嫌いだった」(古部)といった真面目な話から、松岡亮輔の中3から高校にかけての淡い恋物語まで。
松岡は夢クラスについてこう話す。夢クラスでは、年間15~16校の学校をほぼ全員の選手たちで訪問しているが、チームが選手を学校に派遣できる回数には限りがあり、一方で「ぜひわが校にも」と要望する学校の数はそれ以上に多い。少しでも多くの子供たちと交流するには、深く濃くよりも浅く薄くとならざるを得ないのが実情で、心苦しいところだ。
だからこそ、松岡は登場時から盛り上げ、必要とあらば相撲を取ったりもするのだろう。限られた時間で生徒たちとの距離を早く近づけ、密度を少しでも濃くするために。

生徒からの質問コーナー。
Q:普段どんな本を読みますか?
「僕は、絵が多くて、吹き出しとか出てくる本が・・・」(古部)「それ漫画!」(松岡)
「僕は有名な人の自叙伝。孫正義さんや三木谷浩史さんとか。どういう考えでどういう育ち方をしたか興味がある」(松岡)
初めての試みとなった中学校訪問は、参考になる話も多く生徒にとって有意義な時間になったはずだ。ただ、今回の相手は小学生ではなく中学生。松岡の言う通りにもっと回数を重ねて、深い話やディスカッションなどができれば、さらに実りのあるものになるのでは?ということも感じた。
文・写真=嶋守生
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