【山形vs名古屋】プレビュー:迎えるはタレント豊富な名古屋。希望の光を見せてくれるのは誰か。(1672文字)
■Jリーグヤマザキナビスコカップ 予選リーグ 第3節
4月8日(水)山形vs名古屋(19:00KICK OFF/NDスタ)
※ホームゲーム開催情報(山形公式)
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中3日の3連戦、その2戦目に実施されるカップ戦は、メンバーを大幅に入れ替えて臨むことになりそうだ。
昨年の「天皇杯方式」とも言える。出場機会に飢えた選手がカップ戦で起用され、結果を出すごとに自信をつけていく。その中から、リーグ戦の先発メンバーに吸い上げられ、J1昇格の原動力となった選手もいた。そうした選手の登場が今年も必要であることは間違いない。
クラブ初のタイトルを狙ううえでもグループ2位以上で決勝トーナメント進出を果たしたいが、今後のリーグ戦で「J1残留」の可能性を残しながら34試合を全うするためにも、この大会、そしてこの1試合の意味は限りなく大きい。
名古屋はリーグ戦ではいまだ勝利がなく、最下位に低迷しているが、ヤマザキナビスコカップでは川崎Fを3-1、仙台を3-2で破り2連勝し、Bグループの首位に立っている。
とにかく、豊富なタレントがそろう。ハリルジャパン最初の招集メンバーとなった永井謙佑と川又堅碁、193cmのスロベニア代表・ノヴァコヴィッチ、高校サッカー界での活躍がいまだ記憶に新しい小屋松知哉もいる。人間離れした馬力を誇る中盤の核・ダニルソンは、札幌時代に石﨑信弘監督の薫陶を受けている。バックラインでプレーする田中マルクス闘莉王と矢野貴章、そして守護神・楢崎正剛の元日本代表組も健在だ。就任2年目の西野朗監督は、世代交代も図りながら、名古屋をより流動的に攻撃できるチームに作り替えている。
名古屋にとっても3連戦の2戦目、しかもアウェイ連戦になるため、先発メンバーの一部入れ替えの可能性は残る。しかし、直近のリーグ戦(ガンバ大阪戦)を4月3日に終えているため中4日での試合であり、たとえ入れ替えても出場してくるのは能力の高い選手ばかりだ。
モンテディオがチャレンジャーに立ち返るには絶好のシチュエーション。J1の強豪にひと泡吹かせるには何が必要なのか。今シーズン、何を拠り所に戦うのか。それが見える試合でなければならない。
●勝敗のポイント1:何はともあれ、立ち上がり
ヤマザキナビスコカップ・清水戦の3得点はあったものの、J1チームとの対戦で複数得点を奪うことは難しい。勝点3を狙うなら、野球のメジャーリーグで言う“クオリティースタート”の概念は欠かせない。モンテディオに当てはめれば、「60分で失点ゼロ」あたりになるだろうか。しかし、4日のJ1・湘南戦では向かい風と湘南の勢いに後手を踏み、公式戦をもう一つ遡れば、ヤマザキナビスコカップ・神戸戦でも水を含んだピッチへの順応が課題に挙げられた。メンバーを大幅に入れ替えたチームではさらに細かく気を遣わなければならないが、ここはホームスタジアム。自分たちが優位に戦える舞台は自分たちで作りたい。
●勝敗のポイント2:警戒したいのは速い縦の攻撃。ボールの出どころには連動したプレッシャーを!
名古屋は丁寧にビルドアップしながらも、フィードやスルーパスなど縦方向のパスをスイッチに攻撃のスピードが一気に加速する。名古屋の攻撃陣にはテクニックとともにスピード能力を備えた選手が多く、バイタルで起点ができると周囲の選手がボールを追い越したり裏へ抜ける動きも徹底されている。中盤で自由にボールを持たせれば、スルーパスからあっと言う間に背後を取られかねない。J1 1st 第3節・川崎F戦がモデルケースとなるが、前線からの連動したプレッシングを目指したい。
●勝敗のポイント3:得点のカギは、ダイナミックな飛び込みとリフレクションへの意識
名古屋のDF陣はゴールに向かってくるボールを跳ね返す能力が高く、ゴール前には壁が立っている状態だが、一方で人の把握では課題が見える。攻撃でクロスが入る際には、たとえばファーサイドから入り込んだり、一人が引きつけて別の選手が空いたスペースに入り込むなど、ダイナミックに飛び込みたい。また、一発で決めることは難しくても、そこからの跳ね返りやこぼれ球にもいち早く反応できれば、決定機につながる確率は自ずと上がる。そうしたリフレクションを逃さず、ゴールネットを揺らすまで常にアジリティを踏みたい。
(文=佐藤 円)