怒涛の3連勝。4発快勝で柏ダービーを制す/高円宮U-18プレミアリーグEAST 第19節 柏U-18 vs 流通経済大柏高校【レビュー】
高円宮杯 JAF U-18プレミアリーグEAST 第19節
柏U-18 4−0 流通経済大柏高校
2023年10月22日 日立柏総合グラウンド 16:00KO
得点者:28分 ワッド モハメッド サディキ(柏)、50分 ワッド モハメッド サディキ(柏)、68分 戸田晶斗(柏)、72分 近野伸大(柏)
●メンバー
GK21沖田汰志、DF2伊達歩由登、5田村心太郎、8池端翔夢(C)、10関富寛太、11大木海世、MF15戸田晶斗、17福島大雅、FW9近野伸大、18ワッド モハメッド サディキ、19吉原楓人
試合の入りで主導権を握ったのは流通経済大柏高校の方だった。
序盤からCKやロングスローが立て続けにあり、柏陣内の深い位置で圧力をかけていく。
ただ、押し込まれた序盤の時間帯を乗り切ると、試合は一進一退の攻防へ。
拮抗した展開が続く中、存在感を示したのが柏の2トップ、近野伸大とワッド モハメッド サディキだ。
藤田優人コーチが「ポテンシャルが高い」とお墨付きを与えるワッド モハメッド サディキは、その身体能力の高さを活かして上の写真のように、ハイボールをジャンプして胸トラで収めるなど、近野との2トップが攻撃の起点を作った。
先制点は28分。近野の落としを受けたワッド モハメッド サディキのシュートは相手DFにあたったが、そのままゴールへと吸い込まれた。得点後は、ベンチにいる藤田コーチと喜びを分かち合い、チームメートはアシストの近野を称えた。
後半の入りも、1点ビハインドの流経大柏高が圧力をかけてチャンスを作るも、50分にワッド モハメッド サディキの遠目から放ったファインシュートで追加点を奪うと、試合の流れは大きく柏へ傾いた。
攻撃の手を緩めない柏は、68分には左サイドからの折り返しを受けた戸田晶斗が決めて3−0。さらに72分には背後へ飛び出した近野が、自身プレミアリーグ二桁得点到達となる10得点目で4−0と突き放した。
これでプレミアリーグは第17節のFC東京戦から3連勝、しかもいずれの勝利も3得点以上を奪う快勝である。
試合終了後コメント
○藤田優人U-18コーチ
−これでプレミアリーグは3連勝。前半戦は結果が出ませんでしたが、夏以降、チーム力が飛躍的に上がっています。その要因は?
「クラブユース選手権に出られなかったことは誤算でしたが、うまくいかなくてもシーズンを通して見ていたので、前半戦は狭いエリアでサッカーをする、できなくてもどんどんやらせて、困難なところからチームを作っていきました。あとは、夏場にしっかりトレーニングを積みましたし、クラブユースに出場できなかったことで、選手たちにも火がつきました」
−指導するうえでは、選手の自主性もかなり重んじているのですか?
「自分で考えるということは日頃から言っています。ピッチ内では自分で解決しなければいけない。こちらからの指示待ちの選手や、システムが変わったらどうすればいいのかわからないという選手をトップチームに送りたくはないので、ピッチ内で自分で解決できる選手にならなければいけないと思っています。それはサッカー選手にならなくても、必要なことだと思うので」
−試合の入りは、流経大柏高が圧力をかけてきました。セットプレーやロングスローで押し込まれる時間帯が続きましたが、そういう苦しい状況でも失点をしなかったのは、選手たち自身が考えて、跳ね除けられるようになったことも大きい?
「それはあります。ピッチ内ではキャプテンの池端と田村が良い声をかけてくれています。トレーニングでも、次の試合はこう戦うよということは示しますが、それを全て伝えるのではなくて、選手がピッチの上で『こういうことか』というのを気付けばいいと思ってやっています」
−特にこの試合ではワッド モハメッド サディキ選手が大活躍でした。トレーニングからすごいシュートを決めているのですか?
「全然ですね。でもポテンシャルは高いので楽しみですよ。ノブ(近野)と良い競争をしながら、彼にもやってやるぞという思いはあったと思います。ノブもこれで二桁得点。前半戦は出ていなかったことを考えると、普通に出ていたら今頃得点王だと思いますし、二人で良い刺激を与え合いながらできていると思います」
○池端翔夢
−試合を振り返って。
「先制点にはこだわっていたので、それが取れたことが良かったと思います。前半を折り返してからは、後半フラットに、先に取ろうということを意識していたので、そこから3点取れて、良い試合にできたと思います」
−先制点も大きかったですが、取らせなかったことも大きかった?
「そこは言われていましたし、取らせないことは自分のタスクだと思っています」
−序盤、流経大柏がセットプレーやロングスローで圧力をかけてきました。そこでの守備でも意思統一ができていた?
「前半の立ち上がりはちょっと苦しい時間があったんですけど、自分たちは中で乗り切ろうと声をかけて、そこを乗り切って先制点を取れたので、そこは自分たちの成長だと思います」
−藤田コーチは、苦しい状況でもピッチ内で選手が自分で解決できるようにならなければいけないと話していました。あの序盤の苦しい時間帯は、キャプテンとしてチームにはどういうことを促していたのでしょうか?
「横浜F・マリノスユース戦で、前半立て続けに3失点をしてしまって、それが自分の中で見直すきっかけになりました。先制点を取らせないことは自分の役割なので、苦しい時間帯でしたけど、GKの沖田、(CBの)相方の福島と、ここは乗り切ろうということを話していましたし、これを乗り切れば絶対に取れるからという声かけはしていました」
−プレミアリーグは残り少なくなりましたが、残りのシーズンに向けて。
「残り3試合になりましたが、2ステージ制という形ではないですけど、後半戦は優勝という、それを自分たちの中で目標にしています。絶対に取れるように、残りの試合も勝ちたいと思います」
○ワッド モハメッド サディキ
−先制点を振り返って。
「近野くんのところにボールが入ってきて、近野くんは絶対に負けないと思っていたので、相手より先に動いたら、やっぱり負けないで落としてくれたので、先に触って、相手に当たりましたけど、気持ちで押し込んだゴールでした。最初はニアの上を狙ったつもりだったんですけど、相手のスライディングに当たってしまいました」
−2点目もかなり難しいシュートでした。
「1点じゃ満足できないので、そういう思いもあって打ちました。ちょっと遠いところからでしたけど、狙いどおりのコースでした」
−得点を決めたあとは、細谷真大選手が得点を決めた後と同じポーズを取っていましたが?
「真大くんはユースの先輩で、自分は中1のときにレイソルに入ったんですけど、そのとき真大くんは高3で、よく試合を見ていました」
−自分のストロングポイントは?
「ボールを収めるところやフィジカルの部分です。中学1年のときはケガをしていて、3カ月ぐらいできないときがあったたんですけど、藤田さんから筋トレとかを教わって、最初は体も細かったのが、今は体つきも変わってきて、そういう部分でフィジカルが強くなったと思います」
−改善点は?
「守備の部分で足が止まったするので、そこで頭を止めないでもっともっと動くこと。真大くんを見てもすごく走っているし、来年自分がトップ昇格をするなら、真大くんを基準してやっていかないといけないし、あの動きより下回ったら絶対に上がれないと思っているので、もっと走っていこうと思います」