「柏フットボールジャーナル」鈴木潤

あの敗戦からのリスタート。果敢に攻め続けるも相手の牙城を崩しきれず/高円宮杯U-18プレミアリーグEAST 第13節 柏U-18 vs 横浜FCユース【レビュー】

高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ 2022 EAST 第13節

柏U-18 0−2 横浜FCユース

2022年9月4日 日立柏総合グラウンド 16:00KO

得点者:76分 許田新太(横浜)、90+1分 守屋颯人(横浜)

●メンバー

GK21タイガ オリバー ハーパー、DF2足立凱、4大槻豪、5西村龍留(Cap)、22田村心太郎、MF3花松隆之祐、6大橋斗唯(→68分 中村拓夢)、10モハマド ファルザン 佐名、FW9山本桜大、11瀧澤一心(83分 大木海世)、18近野伸大

 

雷雨により前半終了時で中止となり、抽選の結果、敗れた日本クラブユース選手権の準決勝から約1か月。柏U-18が公式戦でリスタートを切った。相手は同じくクラブユース選手権ベスト4の横浜FCユース、プレミアリーグU-18EASTの再開初戦から激しい戦いが予想された。

しかし柏は、酒井直樹監督が「今日は乗れていないというか、受けたがらないというのが見られました」と振り返った通り、横浜FCの球際激しい守備と5バックの前に思うような攻撃を繰り出せず、エンジンがかからない時間帯が続いた。

「ロングボールを蹴って山本選手に『行ってくれ』という攻撃が多くて、そういうチームじゃなくてみんなでちょっとずつ前進して、いろいろな攻撃の形を作りながら良い守備をして何回も何回も攻撃して点を取りに行くチームなので、そういう意味で何もやらせてもらえなかった印象です」(瀧澤一心 )

ハーフタイムに酒井監督が修正を施すと、後半は2種登録選手のモハマド ファルザン佐名がボールを引き出し、「大槻選手が持ったときに自分が降りて、起点を作るということを話しました」(瀧澤)と大槻豪、花松龍之祐の両CB、アンカーの田村心太郎といったビルドアップの起点を作る選手たちの選択肢が増え、次第に柏らしいビルドアップから敵陣に攻め込む回数が増えていった。

山本桜大、近野伸大らアタッカーが果敢にゴールを狙うも、横浜FCの守備陣も集中を切らさず、柏のチャンスになりかけたとしても相手は体を張ってシュートをブロックし、その強固な防壁を崩しきれない。すると柏が攻勢に出ていた時間ではあったが、逆に背後を突かれて横浜FCに71分に先制を許してしまう。

先制を許した後も選手たちは諦めることなく攻め続けた。終盤にはセットプレーや花松のロングスローで得点を狙ったが、やはり横浜FCの牙城は堅く、最後はアディショナルタイムにカウンターから追加点を奪われてトドメを刺される形となった。

クラブユースの悔しい敗戦を糧に、プレミアリーグ後半戦の初戦からのリスタートを図った試合は残念ながら0−2で敗れた。ただ、流れに乗り切れなかった前半から後半は柏らしさを取り戻し、相手ゴールに襲い掛かった積極性は次節の試合に必ずつながる。

 

○酒井直樹U-18監督

「一人ひとりのクオリティが低ければ相手にボールが行ってしまいますし、何か今日は乗れていないというか、受けたがらないというのが見られました。そうなってしまうと横浜FCのやりたい守備にハマっていってしまいます。そこをなんとか修正したかったんですが、時間が経つにつれて失点をしてしまいました。後半はビルドアップのところで落ち着き出してボールを受けるようになり、良い距離感で攻撃に参加できるようになってきましたが、最後のクオリティは課題でもありますし、前線の選手が(激しいコンタクトプレーで)痛み出して、いつもの良い攻撃が出せませんでした」

 

○モハマド ファルザン 佐名

「相手は5−4−1みたいな感じで引いてきて、それを崩せませんでした。最後の決定力、崩しが甘かったという印象です。点を取るために前の人数を増やすとか、入る枚数を増やすとか、クロスの質とか、そういった全部が必要だったと思います。自分の特徴はドリブルで中央突破をすることなんですけど、それを今日の試合はなかなかできず、ビルドアップの参加だけで終わってしまったのは悔しかったです」

 

○瀧澤一心

「ロングボールを蹴って山本選手に行ってくれという攻撃が多くて、そういうチームじゃなくてみんなでちょっとずつ前進して、いろいろな攻撃の形を作りながら良い守備をして何回も何回も攻撃して点を取りに行くチームなので、そういう意味で何もやらせてもらえなかった印象です。自分は近野選手の周りをサポートして、ボックスで前を向いて勝負するイメージだったんですけど、花松選手からのボールの供給のところから相手に読まれていて、そこで後半からは自分が大槻選手が持ったときに降りて、起点を作るということを話しました。自分が最初にやりたいことはできなかったですけど、変更してから少しは改善できたのかなと思います」

(取材・文 鈴木潤)

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