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【ランダムフォーカス】秘策〜大和田真史コーチ

5月の第12節岡山戦でCKのサインプレーが見事に決まって以来、セットプレーのデザイン担当として注目されている大和田コーチ。プレーオフ1回戦の前にも、選手たちが引き揚げた練習場で土屋GKコーチと二人、作戦を練っている姿がありました。「大宮戦に向けて秘策は?」と尋ねると、「まだ悩み中。いろいろシミュレーションして、いくつかある中から一番いいものをチョイスして準備できれば」という答え。その準備した一つが、73分の先制点につながりました。

中村選手から松本選手へのショートコーナー。中村選手がリターンを受けると坂元選手がフリーでスペースに動いてパスを引き出し、そのセンタリングがイッペイ・シノヅカ選手のオウンゴールを誘いました。強烈なラストパスを入れた坂元選手も「練習から同じ形で準備してきたので、それがうまくいった」と話します。

リーグ最終節の町田戦でも、大槻選手が中村選手のCKを流し込んだ先制ゴールがありました。逆転で負けてしまったために霞んでしまった感がありますが、あのゴールは「完璧だった」と大和田コーチは振り返っていました。

「何が良かったって、常に全員で関わっていこうぜと言い続けたことができた。キッカーが2枚いて、フェイクでアクションを起こす二人がいて、キーパーブロックするやつがいて、回るやつがいて。みんながそれぞれ自分のタスクを完璧にこなしてあのゴールが生まれた。ちょっと感動したぐらい凄かった」

坂元選手のフェイクを入れてからの中村選手のキックも完璧。マークを引き連れてゴール前に入っていく栗山選手と山岸選手の動き、マークを外して一旦ゴールから離れ、また入っていく大槻選手の動きと、リプレイで見直すと本当に複雑な連係が行われていることがわかります。

「(大槻選手の)あの動きをしながらボールに合わせるのは簡単に見えて相当難易度が高い。でもあのスポットに完璧にボールが落ちたのはもうエクセレントだね。選手たち、すごいなと思った」

引き分けの許されない一発勝負の試合だからこそ、重要度を増すセットプレー。大宮戦のあの1点目を、大和田コーチはどんな気持ちで見たのでしょうか。

セットプレーの攻撃のデザインは大和田コーチの役割ではありますが、「みんなで話をしてやっているから、全員でやっている感覚の方が強い」とのこと。次の決戦に向け、監督・コーチ陣はまた知恵を絞っているはずです。

文・写真:頼野亜唯子

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