【ランダムフォーカス】余計な気持ち~中村駿選手
前節の鹿児島戦は、守勢に回る時間帯の長い苦しい試合でしたが、セットプレーからの1点を守りきり、3試合ぶりの勝利を挙げました。前半6分のバイアーノ選手のゴールは、中村駿選手のFKから。
「僕の蹴った感触も良かったし、バイアーノの入り方も良かった」
中村選手がそう振り返るとおり、二人の息がぴったり合ったゴールでした。「FKの入り方を整理して試合を迎えたので、それがいい方向に出た」とも話しており、トレーニングの充実ぶりも伺えます。中村選手にとってはこれが今季初アシストとなりました。
シーズン序盤、セットプレーのキッカーとして得点を演出していた三鬼選手が不在の今、中村選手のキックにかかる責任も期待も大きくなっています。そしてそのことは誰よりも中村選手自身が強く感じています。
「(三鬼)海がいなくなって、それでセットプレーで点が取れなくなるのは寂しいですし、僕にとってはチャンスだと思うので、そこはちょっと気持ちをこめて一球一球蹴っています」
鹿児島戦では得点シーン以外にも惜しいセットプレーがいくつかありました。56分の左CKではファーにボールを送り、フリーの栗山選手がヘッドでシュート。GKにセーブされてしまいましたが、「いい感じで合わせられた」と手応えを語っていました。
また、終了間際の87分にはFKで直接ゴールを狙う場面も。きれいな弾道でゴールに向かったボールは枠を捉えていましたが、これもGKに阻まれてしまいました。あれは行ったと思ったのでは?と思い聞いてみたところ、中村選手は反省の弁をポロリ。
「蹴る前に、決めたら1得点1アシストというのがよぎっちゃって……」
そんな「余計な気持ち」が入らなければ、もっと速いキックを厳しいコースに蹴り入れられたかもしれないのにと、少し悔いの残るキックだったようです。見方を変えれば、少しの心の揺れが影響してしまうほど、セットプレーのキックというのは微妙なもの、ということなのかもしれません。
明日の甲府戦も、セットプレーに注目です。
文・写真:頼野亜唯子