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【トピックス】中学生に実のあるアドバイスを 夢クラス@上山市立宮川中学校

モンテディオ山形が行っている夢クラスは、昨年から小学校だけでなく中学校にも訪問するようになっている。そこでは夢に向かう小学生にエールを送るだけでなく、少し踏み込んだ内容の話や質問も増えてくる。選手たちもただ笑顔を見せるだけでなく、真剣に生徒たちと接する場面が増えてくるものだ。
そんな小学校とは少し色が変わる夢クラス。5月23日に栗山直樹と南秀仁が上山市立宮川中学校を訪問した。

レクリエーションでサッカー部の生徒とサッカー部対決をしたあと、じゃんけん大会も行い、生徒たちが夢を発表する。それぞれが夢を語ったあと、マイクを持った栗山が逆に生徒に「夢を叶えるために今自分が何をしているか」と逆に質問する。生徒もただ勉強していると答えるだけでなく、興味のある分野を学んだり、フィジカルを作っているなど具体的な反応が多かった。

それを踏まえた栗山の夢に向かうアドバイスは2つだった。

「夢を見つけたら、その夢から逆算して、自分が今何をしなければいけないかを考えて欲しい。例えば獣医になりたいなら、どこの大学に行って、どこの高校に行けばいいのか。そういう大きい目標を決めたら、どんな勉強をしたらいいのかという小さい目標を立てていくといいと思います。
もう一つは、どんな夢を持っていてもどこかで壁にぶつかると思います。その時にどれだけ頑張れるか。壁にぶつかったらやめてしまうのは、夢を叶えるためには足りないんじゃないか。その壁を乗り越えようと努力することが大事です」

それを受けて、今度は質問コーナーで生徒からさらなるリアクションが起こった。

「その壁を乗り越えるために気をつけた方がいいことはありますか?」

そして栗山も向き合いながら自分の考えを正直に話していく。
「僕も今まで壁に当たったことは何回もあった。直近ではプロになってから2年間は全く試合に出られなかった。大学4年生とプロになってから膝に大怪我を負って1年近くサッカーができなかったこともある。その時に助けてくれたのは仲間だった。一緒に夢に向かって頑張る仲間に本当に支えられた。お父さんお母さんも含めて、周りの人に支えられて生きていけると思う。仲間の存在というのを大事にしてくれたらなと思います」

質問コーナーでは、他にもサッカー部からの積極的な質問が多く、選手に実演しながら教えてもらっていたり、女子生徒からは「女子サッカーをしていますが、男子に負けないようにするためには何をしたらいいですか?」という質問もあった。これに関しては南が具体的なアドバイスをしている。

「身体能力や足の速さでは男子に勝てないかもしれないけど、常に状況考えて相手より先に動くことと、基本的な技術を磨くこと。技術に関しては男性も女性も関係ないから、男子よりも上手くなれば女子でも勝てる要素は出てくる」

中身の濃いアドバイスが多かった夢クラス。「中学生くらいになるともう大人なので、簡単な言葉を選ばなくても話が伝わるし、普通に中身のある会話ができる」と南は話していた。

内容はサッカー寄りのものが多かったが、それでも夢に向かう先人の実のあるアドバイスは、生徒たちにも響いていたようだ。


サッカー対決に挑むのは、18年度の上山市中体連サッカー大会で優勝した実績もある宮川中学校サッカー部。プロ側は抜群のキープ力に長ける南秀仁と、3バックの中央を支える栗山直樹というバランスの良い構成。
最初は2対2でスタートし、あっという間にプロ2人が先制ゴールを決めると、「じゃあ次の刺客~」と軽いノリでフィールド1名とキーパー1名が追加されて2対3+GK1に。さらに2人追加で2対5+GK1とどんどん設定が厳しくなり、最後は、「じゃあ全員入ってください」と宮川中は11人体制に。流石にプロ側にもサッカー部のGKを入れ、3人対11人の試合になっていた。
もちろん、プロも負けてはいない。1対3でも中学生相手なら山形の壁は止めてくれる。4人に囲まれてもうちのゲームメーカーなら簡単には取られない。
最終的に押し込まれたが、それでもプロの意地は見せていた。


生徒たちと向き合いながら質問に答える2人。

生徒「一発勝負に強くなるメンタルトレーニングや考え方はありますか?」
栗山「僕はいつも、自分が試合でミスをして負けたとか、最悪なことを考えている。そういうことを考えておけば自分が多少ミスをしたとしても、そのミスに比べたら大丈夫だと思って気持ちを保つようにしている。
あとは試合の最初に、自分の得意なプレーをすること。最初は、フリーでトラップできそうでもヘディングしたりとか。自分の得意なプレーをやれば、すっと試合に入っていける」

生徒「ボールを奪う重要なポイントやコツはありますか?」
南「今はチームでもすごく守備を厳しく言われている。守備をしない選手は試合に使わないと言われるくらいのレベル。一人ではボールを簡単には取れないから、どこでボールを取りたいか、どこに追い込んで、どのくらいの強度で行くのかを、チームで話しあって意思疎通することが必要。たまたま取れることもあるけど、大体はチームワークで決まってくる」

 


生徒「どうしたら競り合いで勝てますか?その強さを感じたいので僕と競り合いをしてください」

栗山「相手よりも早く飛ぶことを意識している。大きい選手やジャンプ力がすごい選手はいかに相手を飛ばさないかを考えたい。その土俵で勝負しないでヘディングすることを意識している」
そう答えて、サッカー部顧問の先生にボールを投げてもらい、生徒と栗山が競り合う。
顔の骨折も考慮して右から競っていたが、そんなものは微塵も感じられず。相手に全く飛ばせることなく競り勝っていた。


生徒「サイドキックとトラップファーストタッチのコツを実演しながら教えてください」
栗山「南選手がサッカー界でもトップクラスの技術を持っているので南選手に見せてもらったらいいと思います」

そう言われて南が生徒とパス交換を実践。様々なパスを披露していた。
南「パスやトラップに関しては、一生練習するしかない。僕は18歳でプロになって、試合に出れないときは、端っこで止めて蹴るを2時間ずっとやっていた。こればっかりは練習するしかない」

文・写真 嶋守生

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