Dio-maga(ディオマガ)

【頼コラム】人生にサッカーが入り込んでしまった人たちの最終節〜小説『ディス・イズ・ザ・デイ』

『ディス・イズ・ザ・デイ』(津村記久子著/朝日新聞出版)は、プロサッカーリーグ2部で戦う22クラブを応援するサポーターたちの、最終節を描いたオムニバス小説である。11の物語で描かれる11のカードで、22クラブ全てのサポーターが登場する。

昇格も降格も関係ないチーム同士の対戦もあれば、降格の危機にあるチームが自動昇格を目指すチームをホームに迎えるカードもある。ただ、試合展開の描写は多くはない。仕事や学校、家族や恋人との日常——さまざまな人生を生きる人たちが、それぞれの最終節のスタンドに座る。地域色豊かなスタグルやマスコットも秀逸で、現実と同様に試合を彩る。大きな事件は起こらない。読後感は、静かで温かい。

(残り 1196文字/全文: 1499文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

日本サッカーの全てがここに。【新登場】タグマ!サッカーパック

会員の方は、ログインしてください。

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ