Dio-maga(ディオマガ)

〈Dio-maga〉インタビュー:17年引退のGK鈴木雄太が山形強化部に。「今は山形に恩返しをしたい」<前編>

インタビュー後の鈴木雄太。口調はやや強くて堅い感じも受けるが、実直な性格で何でもよく話せる。飾らずに思いを語るインタビューとなった。

06年にモンテディオ山形でプロキャリアをスタートさせたGK鈴木雄太が、17シーズンをもって現役を引退した。鈴木は12年までモンテディオ山形に在籍したあと、湘南ベルマーレ、ザスパクサツ群馬に在籍していた。
現役時代を通しての公式戦通算出場試合数は1。16年8月27日の第96回天皇杯1回戦ザスパクサツ群馬対ソニー仙台FC戦が、公式戦初出場にして現役最後の公式戦。リーグ戦のピッチに立つことはできなかった。
公式戦の出場は1試合のみだが、それでも積み重ねたプロキャリアは12年と長い。およそ4分の1のJリーガーが公式戦に出場することなく姿を消していくという厳しい世界で、GKという特殊なポジション性を考慮しても際立ったキャリアと言えるだろう。
鈴木の現役引退が発表されたのは1月21日。その日鈴木は、モンテディオ山形の御前崎キャンプが行われている御前崎NEXTA FIELDにいた。この時にはすでにモンテディオ山形の強化部入りが内定しており、すでにセカンドキャリアの道を歩み始めていた。
プロキャリアを終えて新たな道に向かう鈴木。現役時代から秘めていた思いや得た経験をどう活かしていくのか。
現役時代の苦労と感謝を綴りながら、セカンドキャリアに向かう胸中を語る。

<インタビュー・構成 嶋守生 インタビュー日 1月22日>

<前編>12年間の現役生活を振り返る。「ありのまま素の自分が出せた」

Q:12年間の現役生活お疲れ様でした。
ありがとうございます。

Q:現役を引退したばかりの今の心境を聞かせてください。
自分の目標にしていたリーグ戦出場が叶わずに現役が終わりましたが、それもタイミングだと思います。これが普通の企業に入社したり、どこかで指導者として小中高校生を教える仕事に就いていたりしたら、たぶん未練タラタラで引退したと思うんですけど、こうやって良いお話を頂けたのは一つのタイミングだったので。まったく未練がないといえばおかしいですけど、やれることがあるのがありがたかったです。もちろんこれから時間が経って自分のやれることや気持ちが整理されてくると、またやりたくなってくるかもしれません。引退した実感はありますけど、まだ本音が出てくる感じではないですね。

Q:まずは現役生活を振り返って話を聞かせてください。プロの12年間をどのように過ごしてきましたか?
気持ちが切れることはあったとしても、やるべきことはやろうと思っていました。人に評価されるために人前だけでやるとか、発言に気をつけようとかではなく、ありのまま素の自分が出せたというか、素を出して生活できたからここまで続けられたんだと思います。だって気を遣っていたら気持ちはすぐに切れちゃうじゃないですか。いつかばれるし。
でも自分の中で、オンでもオフでも喋っていることはあまり変わらずに過ごせていて、サポーターの方ともスタッフとも、誰と話す時でも考え方は変わらなかったです。それが現役を長く続けられた要因だと思います。

Q:サポーターからは「人柄が良くて」「ファンサービスもしてくれる」という声も多く聞こえていました。試合に出てなくても好きだという方も多かったです。
相手がサポーターだから、フロントスタッフだから、小中高校生だからと、自分の立場を考えて話したことはなかったですね。目上の人にはちゃんとしていましたけど。もちろんチームのこととか言えないことはありますけど、それで態度を変える必要はないし、「自分も普通の人間だし」と思っていました。それで相手の方が喜んでくれているのは嬉しいですが、喜ばせようとしてやっているわけでもなく、ただこっちも喋りたいだけなので、それも素の自分ですね。普段会った時に(サポーターの)顔を覚えているのだって、たまたますれ違った時に「あぁ、この間はどうも」みたいなのと一緒で、その絡みが濃ければ濃いほど出てくるし、普通のことでした。

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