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【ラストフォーカス】周りを活かす~太田徹郎選手

7月末、太田選手が鳥栖から期限付き移籍で加入すると発表された時はやはり、全くの「はじめまして」の選手がやって来るのとは違った嬉しさがありました。戦力としての期待はもちろん大きいものがありましたが、今いる選手の知らないモンテディオ山形の歴史を体験している選手の存在は、きっといろいろな形でプラスになるだろうと思ったからです。それだけに、厳しい勝負の世界において仕方のないこととはいえ、再びのお別れに残念な思いが募ります。

加入して間もない8月初旬の練習後の囲み取材が印象に残っています。

——周りの選手の特徴はわかってきましたか?
「だいぶ。特に前線の選手はみんな足元がうまいし、ドリブルもうまい。(自分は)おとりの動きをしてそういうのを活かせればと」

——前節(第25節・福岡戦)もそういう動きがありました。
「動きながらも『こっちへ出さないでいいぞ』って感じで走っている時があるので、俺は。結果的におとりになればいい」

——そういう選手は山形にはちょっと少ないですよね。
「そうですね。自分で持って仕掛ける人が多いし。トヨは動き出しでもらうタイプですけど。康也とか雄斗とかは自分でシュートまで持っていくのが得意な選手なので、そういうのはどんどん活かせればいいなと思います」

——(前線で)阪野選手と組む時は、どういうプレーになりますか。
「トヨは裏に飛び出すのが得意。僕は逆にプラーっと中盤で浮いて、足元でもらったらすぐにトヨを使ったり、スルーパスを出したりできればいいかなと思います。必要な時はちょっと降りてプレーすることも必要だと思うので、臨機応変に」

すでに、チームをうまく機能させる役割のイメージを描いていることがわかるコメントでした。華やかではないけれど、味わい深い“いい仕事”のできる選手。若い頃からそういう選手ではありましたが、その持ち味にいっそう磨きがかかっていたように思います。鳥栖との契約も満了が発表になっており、次はどこであの気の利いた仕事を見せてくれるのか、まだわかりません。少し心配しながら、朗報を楽しみに待ちたいと思います。

文・写真:頼野亜唯子

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