残留争いを終わらせる勝利 チームの現在地と来季を見据えて【轡田哲朗レッズレビュー/J第36節 広島戦】
(Report by 轡田哲朗)
マリウスのコンビは井上に、左サイドは長沼を起用
浦和レッズは11月10日にサンフレッチェ広島とリーグ戦の第36節で対戦して3-0の勝利を収めた。マチェイ・スコルジャ監督が再就任となってから約2カ月で初めて複数ゴールをマークした試合になり、無失点は3試合続いている。そして、勝ち点を46に伸ばしたことでJ1残留が確定した。志の低い話ではあるものの、そこにある現実として結果を手に入れなければならなかったわけだから、マチェイさんが「1つのプレッシャーが消えた状態で今後の試合ができる」と話したのも自然なこと。この後に代表活動期間で中断することも含め、残りのシーズンについて「時間の有効活用をしたい」と来季を見据えたことを考えるべき時間にもなった。
この日の浦和は大畑歩夢がピッチに立てず、長沼洋一が起用された。また、出場停止が明けるマリウス・ホイブラーテンと組むのがどちらになるかも注目された場所の1つだったが、その前までのゲームと同様に井上黎生人とのコンビになった。10月の代表活動明けから基本的なスタメンは固定されていて、負傷や体調の問題、出場停止で出られない選手がいる場合に1対1で選手を入れ替える起用が固まった感はある。ベンチメンバーには武田英寿や前田直輝が入り、少しばかりの変化と感じられる面もあった。
一方の広島は厳しい日程の中で戦っていて、シドニー遠征から中2日での試合になった。帰国後は広島に戻らず首都圏で調整して浦和戦に臨んだということだけれども、それがどれほど影響したかは注意深くチームを観察しているわけでもなく前後の比較ができないので分からない。塩谷のボランチ起用、加藤が最前線に入り外国人アタッカーたちが揃ってベンチスタートという構成だった。
シュート17本を打たれた前半だが、守り方は整理されていた
前半のシュート数で広島が17本だったという数字だけを見るとなかなかで、これは3分に1本のペースを超える。広島はゴール期待値がリーグでトップというデータも有名だが、それは可能性の低い位置や状況からでもシュートを打つチームなのが大きく影響しているだろう。このゴール期待値というデータは、そのシュートがゴールに入る期待値を1本ごとに算出(例えば4回に1回のゴールが期待できる状況でのシュートは0.25とされる)し、それを累計していくものだ。何が言いたいかというと、減ることない積み上げ方式の数字だということと、シュート以外のプレーではカウントされないということ。例えば、浦和の3点目は前田が一気に抜け出して原口元気にラストパスを通したが、前田のパスがズレて原口がシュートできなければ、その期待値は0のままカウントされない。かなり遠い位置から無理やり打っても0.01くらいの数字がカウントされることはあるので、必ずしも攻撃の機能性を正確に表すものではないとも言える。それは、リカルド・ロドリゲス監督が浦和を率いていた時期にテーマにしたことがある。
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