浦レポ by 浦和フットボール通信

落とした勝ち点は残念、だがそれ以上に…【轡田哲朗レッズレビュー/J第29節 町田戦】

(Report by 轡田哲朗)

監督交代の判断から迎えた暫定体制の試合

浦和レッズは8月31日にリーグ戦の第29節でFC町田ゼルビアと対戦して2-2で引き分けた。この試合を前にペア・マティアス・ヘグモ監督の解任とマチェイ・スコルジャさんの新監督就任とも復帰とも言える監督人事を発表して、マチェイさんのビザ発給などの手続きと来日までの間は池田伸康コーチが暫定監督を務める。その1試合目が町田戦になった。この町田戦の後は代表活動があるので9月14日のガンバ大阪戦まで期間が空くし、その間に全てが間に合うことが望ましい。そして、1日でも早くトレーニングを直接見られる状況が整ってほしい。

また、町田戦の翌日に欧州の昨季末でシュツットガルトとの契約が満了していた原口元気の加入も発表された。「ウインドーは8月21日にしまったんじゃないのか」という質問を受けたことがあるので簡単に説明すると、その約2週間前に閉じたウインドーの制限を受けるのは前所属チームとの契約がある選手を移籍で獲得する場合になる。原口のように登録ウインドーが始まる前に前所属チームとの契約が終了している選手について、Jリーグは9月6日を追加登録する期限に定めている。そのため、コンディションや監督の選択は別にして、登録が完了すればガンバ戦からメンバー入りが可能になる。また、育成型期限付き移籍とGKの絡む場合にも例外規定があるが、興味がある方は調べてみていただければいいと思う。

8月24日の川崎フロンターレ戦まではヘグモさんが指揮を執っていたし、前半45分で中止になってしまったものの試合の内容も全体のプレーも悪くなかった。ただ、監督が交代した次の試合で前の試合と11人すべてが同じスタメンというわけにはいかないのがプロサッカーの世界によくある話でもある。それに、多少マチェイさんのリクエスト、たとえば「この選手にプレータイムを与えておいてほしい」などの事情は入ってくるかもしれないと思ったが、そこで変更する対象がサミュエル・グスタフソンだったのはとても驚いた。これは後出しの話になってしまうけど、石原広教はこの試合でプレーできる状態だったとは思えないし、結果的にグスタフソンは試合に出ないことで存在感を発揮することになった。

コーンポタージュの残った鍋に味噌汁を放り込んだような

プレビューで私は「単純に1試合を勝ったか負けたかだけ考えればいい」とこの試合を位置付けた。ただ、その背景にはたかが1週間で何かを大きく変えることはできないだろうし、川崎戦も全く悪いないどころか良い寄りの試合だったので、とりあえずそのまま1試合やって、試合中の修正とか選手起用のところは池田伸康さんの色が出るかなと思っていたところがある。「このような状況下で『走り負けるな!』みたいなことを試合前に強調すれば、(ポジションレスにゴチャゴチャに動き回って運動量でカオスを制す)方向にチームがいっても驚かない」と、半ば心の準備をしたようなことも記したが、それもまた「そうは言っても」くらいに思っていたところもある。しかし、その予想を大きく超える何とも言えない光景がピッチには広がることになった。

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