鹿島戦らしいゲームに改善も見られたが、スーパーマンが必要なポジションも【轡田哲朗レッズレビュー/J第27節 鹿島戦】
(Report by 轡田哲朗)
牲川がJ1初スタメンとフル出場で好プレーを見せる
浦和レッズは8月17日に鹿島アントラーズとのアウェーゲームを戦い0-0で引き分けた。大きく分けると前半は浦和、後半は鹿島にチャンスが多い試合だったと言えるだろう。そのような観点から言えば浦和は先制点を取って試合を運べる可能性が少なからずあっただけに、そのチャンスを逃してしまったことは展開としては痛かった。ただ、最後に押し切られて勝ち点ゼロに終わりかねないところを踏ん張って勝ち点1を持ち帰った側面もあるし、最終的にはある程度のところで試合展開や試合内容に対してフェアな引き分けとも言えるものだった。
年間19試合あるアウェーゲームの中で有数の難しさがあるのが鹿島戦でもあるし、そこを引き分けで乗り越えたことは悪くない。もちろん勝ち点3はどんな試合でも欲しいものだけど、この試合結果をポジティブに捉えきれないとすれば現在の順位表がそうさせるのであって、それはこの試合より前の25試合に問題がある。全く同じようなことを昨年の鹿島戦でも話題にしたような気はするが。
西川周作が前節のレッドカードにより出場停止だったので牲川歩見がスタメンに入った。彼にとってはこれがJ1初スタメンでのフル出場であり、身長なども含め素質、素材として期待されてきたところからチャンスをつかめた。ジョアン・ミレッGKコーチが浦和に来て、最初は「おいおい、大丈夫か」なんて言われながらやっていたのを記憶しているけど、そこから着実に力をつけてチャンスが回ってきた。そのゲームを無失点で終えたのも喜ばしいことだろう。
他では最前線にブライアン・リンセンが戻ってきて、ダブルボランチはサミュエル・グスタフソンと安居海渡で継続だったけれども、グスタフソンを右の低い位置に置きながらプレーメーカーを託す場面が多かったという点では前回のサガン鳥栖戦からの調整は見られた。左右のサイドハーフは大久保智明と関根貴大で初めたが、大久保が前半に相手の柴崎に削られて後退を余儀なくされたので、後半は右に渡邊凌磨、左に関根という組み合わせになり、最終的には松尾佑介を左に入れる流れだった。
大久保が前半の決定機を導いたが、スーパーマンが必要なポジション
冒頭でこのゲームは前半にチャンスが多かったと記したが、その理由は大久保が良いプレーを見せた場面が決定機につながった側面があった。渡邊のシュートがクロスバーを叩いた場面は目の前にDFを置いてのシュートなので決定機とは数えられないから、それに該当するのは前半のカウンターから関根のシュートにつながった場面と、大久保のドリブルから渡邊にラストパスが通った2つで、いずれも大久保の運ぶドリブルが状況を作った場面だった。
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