発揮され始めたオートマチズム、最低限の結果を手にしたアウェー戦【轡田哲朗レッズレビュー/J第15節 磐田戦】
(Report by 轡田哲朗)
全体的に悪いゲームをしたと思わないが、同点ゴールだけ残念
浦和レッズは5月19日にリーグ戦の第15節でジュビロ磐田とアウェーで対戦して1-1で引き分けた。試合内容を見てみれば全く悪いものではなく、何が残念だったかと言えば先制点の直後に追いつかれてしまったこと。少し大づかみに言うと、ミドルからローブロックに構えてくる相手に対してボールとエリアを制圧しながら攻め込んで、良いチャンスも作った。前田直輝のチャンスは決めておきたかったけど、ああいうものが入らない日もある。それでもセットプレーでゴールを持ってこられるという、ここまでは素晴らしいもの。あとはその1点を生かした試合に持ち込めるか、というところでの失点が早く勝利を逃す結果になったが、トータルしてみた時に悪いゲームだったとは思わない。それに対しての勝ち点1はちょっと残念ではあるものの、ここまで安定感を欠いてきたアウェーゲームという部分が最後に顔を出したとも言えるし、その中では良い形でゲームをできたとも言える。
15日の京都サンガF.C.戦からはスタメン継続で、安居海渡がそのままアンカーに入った。サイドバックに大畑歩夢、インサイドハーフに渡邊凌磨という左サイドの関係性も継続となった。ベンチメンバーだと小泉佳穂のところに堀内陽太が入ったので、中島翔哉がちょっと疲れてきた感じになったところの交代でエカニット・パンヤを入れることになったのだけど、結果からの逆算のニュアンスを否定しないで言えば小泉がここで欲しかったなという感はあった。それは、京都戦でも小泉をそのまま中島の位置に入れてやっていたこともあるので、残り時間が少なくなって1点が欲しいところで交代の人数以上にポジションを動かす選手が多くならない方がやりやすかったのではないかという意味も大きい。とはいえ、18人という制限の中で少し入れ替えもありながら堀内や武田英寿といった選手たちが出入りしているのを悪いこととも思わないので、この辺はなかなか難しい。
磐田はジャーメイン良が負傷離脱して3試合目だったが、確かに迫力の部分で難しかったのだろう。前半からサイドはある程度の位置までいくとシンプルにクロスというチームだったが、そこに飛び込んでくるジャーメインがいるかどうかは浦和にとっても影響が大きかっただろう。ただ、西川周作が守備範囲を広げて弾き出す場面が多かったのは良い部分だった。
マイボール時にオートマチズムが確立されてきたことを感じさせる
試合開始の最初のプレーでワンタッチパスの連続でチアゴ・サンタナのシュートまでいった場面は鮮やかだった。右サイドでアレクサンダー・ショルツがセカンドボールを拾ったところから、前田と伊藤敦樹がポンポンとつないでチアゴのシュートまでいった。前田と伊藤の位置は間にうまく立ちながら相手の体の向きをグチャグチャにできたもので、この場面を見ただけでもトレーニングで良いものを積み上げられていることは想像できるところがある。ここ数シーズン、あまりこのような場面はなかった。このパス交換に関しては、ほぼ相手は関係なくなるレベルのもの。こういう「スペシャル」が決まるようになってくると、攻撃は楽になってくるだろう。
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