浦レポ by 浦和フットボール通信

エース菅澤優衣香が2点に絡む活躍 途中出場で狙っていたこととは

(Report by 河合貴子)

前半2失点のビハインドを追いつく

WEリーグ連覇に向けて初戦となった、ちふれASエルフェン埼玉戦を2‐1でしっかりと勝ち切り、白星スタートを切った三菱重工浦和レッズレディースは、味の素フィールド西が丘に乗り込み日テレ東京ヴェルディ・ベレーザ戦に挑んだ。

東京NBを今シーズンから指揮をするのは、ベレーザの黄金期を作り出した松田岳夫監督だ。東京NBは、チームの主力であった小林里歌子選手がノースカロライナ・カレッジへ移籍するなど昨シーズンからガラリと様変わりし、先発の平均年齢も約22歳と若返った。さらに開幕2連勝を飾って勢いに乗り、まさに破竹の勢いの新生東京NBであった。

試合の立ち上がりから浦和は攻勢を仕掛けていくが、東京NBの非常にコンパクトな守備ブロックに苦戦をしいられてしまった。東京NBの守備ブロックは距離感が良いだけでなく、寄せも早い。数的優位な状況を作り出し、浦和の攻撃のテンポを狂わせていった。

そして11分、アグレッシブな守備から浦和陣内でボールを奪うとショートカウンターから土方選手が巧に切り替えして放ったシュートが決まった。さらに24分、オーバーラップしていた宮川選手とワンツーで抜け出した北川選手のクロスに合わせた山本選手のシュートを池田咲紀子選手が一旦は止めるも、そのこぼれ球を山本選手に押し込まれて0‐2にされてしまった。

浦和も猶本光選手や水谷選手がミドルシュートを放ったり、猶本選手のFKに合わせた清家貴子選手のヘディングシュートはクロスバーに直撃したりと反撃を試みるものの前半を0‐2で折り返すことになってしまった。

この苦しい展開を一気に変えたのは、後半の頭から投入された浦和のエース菅澤優衣香選手であった。

「ちょっと前でタメが作れていなかった。自分が前でタメを作る。相手は、背後が嫌だ。自分が背後を狙うことでディフェンスラインが下がる」と前半の展開を見ながらイメージを膨らませていた。

そのイメージ通りに菅澤選手はしっかりと前線でタメを作り、そこからサイドに散らしたり、トップ下の猶本選手に預けてディフェンスの背後を狙っていた。この動きで浦和のディフェンスラインは上がりチーム全体で高いポジションを取ることができ、そこから東京NBのお株を奪う良い距離感で攻撃のリズムが生みだしていった。

さらに菅澤選手は、鋭い読みが光り相手陣内でインターセプトするなど献身的な守備で浦和を牽引していった。浦和が後半に放ったシュートは、何と東京NBの3本に対して10本だ。いかに試合の流れが変わったか良く分かるはずだ。ピッチで菅澤選手が醸し出す存在感は、若い東京NBの選手たちを飲み込んでいた。

そして71分、清家選手のクロスをディフェンダーと競り合いながらもしっかりとゴールへと流し込むヘディングシュートが決まった。

「清家が良い形でボールを持っていたので、相手のポジショニングを見て、ここのポジションだったらボールは上がってくると思った。実際に良いボールが上がってきたので、自分は当てるだけだった」とゴールシーンを振り返りながら嬉しそうに笑った。菅澤選手らしい匠な動きからのゴールであった。

主導権を握った浦和は、菅澤選手と清家選手の2トップへ変更して攻撃のギアをあげた。85分、同点弾となった途中出場の塩越柚歩選手のゴールも、起点となったのは菅澤選手だ。

後半、長嶋玲奈選手に替わって投入された石川璃音選手のビルドアップを前線でしっかりと競り勝ちヘッドで清家選手の前へとスペースへと流した。スピードに乗った清家選手を必死に止めようとDFがスライドしたところにファーサイドから塩越選手が走り込み、清家選手のグラウンダーのクロスに飛び込み2‐2。

菅澤選手は「璃音(石川選手)には、練習から見るように言っていた。トレーニングの成果で、しっかりと得点まで行って良かった」とニンマリ。

前半に2失点してしまったが、後半に追いつくことができ2‐2の痛み分けとなり貴重な勝ち点1を得る結果となった。もう少し時間があれば逆転はできたはずだ。いやスタメンで菅澤選手を起用していたら、島田芽衣選手も結果を残すことができたのではないだろうか・・・。

菅澤選手は、「ちょっと膝の怪我がある。どうしても痛みがゼロじゃない。スタートから出るのが、ちょっと厳しい」と耳を疑いたくなるような足の状態だったのだ。

そして、「う~ん」と考え込むような表情をし「正直、オペする可能性もゼロじゃない状況でやっている。軟骨損傷。ねずみまで入ってなくて、ちょっと剥がれている。オペすると時間がかかる。できれば、オペをしないでプレーができるところまでやろうかな。負荷が高いと痛くなる。メディカルのスタッフと相談しながら悪化だけはしないように、今シーズン、1年通して闘えるようにしたい」と話した。

菅澤選手の今シーズンの目標は「最低限、二桁得点。あわよくば得点王」だ。

幸いなことに、膝に水が少し溜まるぐらいで抜くほどではないそうだ。膝周りの筋肉があれば、多少軽減はされる。オペを回避するために、メディカルスタッフの力を借りながら、しっかりケアし筋肉をつけてカバーしていく。

怪我を抱えながらも、これだけのパフォーマンスができる菅澤選手に頭が下がる。「流れを変えるのは、途中から入った選手の使命だ。それができて良かった」と安堵の表情を浮かべながら、浦和を愛する人々の「優衣香が戻ってきてくれた」と頼りにしてくれる声援が「一番うれしい」と笑った。できることなら違和感なく100%の状態で思いっ切り浦和のために闘ってもらいたいところだ。悪化しないことを願うばかりだ。

浦和を勝利へと導く使命を背負い、浦和を愛する人々の声をパワーに変え、膝の軟骨損傷とうまく付き合いながら、浦和を愛する人々と共にゴールを目指し闘う菅澤選手であった。

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