浦レポ by 浦和フットボール通信

大きな問題のない勝利、後半45分間の柴戸から受けた期待感【轡田哲朗レッズレビュー/ACL ハノイ戦】

(Report by 轡田哲朗)

マリノス戦まで1週間あったことも少し保守的な起用の理由か

浦和レッズは10月4日のAFCチャンピオンズリーグ(ACL)グループステージ第2戦、ハノイFC(ベトナム)との試合に6-0で勝利した。冷静に見れば少なからず力の差がある相手で、例えば彼らがJ1に参戦したとして優勝争いに絡むようなことはないだろうし、残留争いを気にして戦うレベルのチームではあるだろう。ただ、それでなお上手くいかない、変な感じの試合になってしまうこともあるのが国際試合であるとも言えるので、立ち上がりに相手を消沈させるような試合展開に持ち込んだことが素晴らしかった。マチェイ・スコルジャ監督が「前半20分までに2-0にできたのも非常に良かった」と話したのは、本当にそのままのことだろう。

スタメン選考のところは、思ったよりも保守的だったというのが最初の印象だった。伊藤敦樹を外した以外はリーグ戦でも出場機会の多い選手たちが並んでいて、いわゆるセカンドグループというか、スタメン出場よりも途中出場の方が多そうな選手からスタメンに入れたのも髙橋利樹くらいだろうか。そのレベルの入れ替えもあまりしなかったのは、次の公式戦が10月11日のルヴァン杯準決勝の横浜F・マリノス戦なので1週間のインターバルが確保できることも要素にあったのだろう。

プレビューでも少し触れたように、現在のトップチームは31人で分かりやすい負傷離脱者が5人いる。そして、安部裕葵は現時点での出場はあまり想定されないということなので、「引き算」の結果は25人。3人いるGKを2人に絞っただけで24人なので、現状の選手たちはほぼ全員がメンバー入りすることになる。外れたのは宮本優太ということで、本人が一番悔しいだろうけれども厳しいなという感はある。ただ、ACLのこの人数構成は費用的な部分を除けばメリットの方が大きいだろう。

先に選手起用の部分にだけ触れると、前半に3-0のリードを奪ったことで岩尾憲を45分で休ませることができたのも、柴戸海のプレーを45分見られたのもメリットだと言えた。早川隼平も11日のマリノス戦では大会レギュレーションのこともあり重要な存在なので、彼にアシストが付くようなゴールが生まれたのもチームとしては歓迎すべきことだろう。大畑歩夢はU-22日本代表の活動でチームを離れるので、それを踏まえると別の選手を起用できたら良かったのかもしれないが、酒井宏樹に無理をさせないことが主眼だったようには思う。そして、ホセ・カンテはリーグ戦が出場停止ということで、このACLとルヴァン杯で活躍してもらうべき選手であり、興梠慎三はまるで「兄貴分」のような感じで、同時投入で浦和デビューになったエカニット・パンヤを導いたようにも見えた。実際には、このエカニットの起用だけが少しチャレンジをした部分で、それが選手起用が保守的に映った理由の1つでもあった。

この辺は、もし4年前までのグループ2位でも確実に突破できる大会レギュレーションなら違った判断をしたかもしれない。今のシステムだと首位争いに得失点差はあまり関係ないが、2位の5チームから上位3チームに入ることを考えなければならなくなった時に得失点差が絡みやすいので、以前よりも重要性が上がった。その影響は少しあったようにも思う。

快適ではないけど特に問題のない状態は意外と難しい

相手の感じもあってこのゲームはそれほど複雑な展開にはならないで済んだ。彼らのシステムは5-3-2になる感じで、並びだけなら湘南ベルマーレあたりに近いかもしれない。ただ、33番の選手が可能な限り前に押し出してプレーしようとするので、変則4バックのように見える時間も長くなったようには思う。荻原拓也のポジション取りは少し難しいところで、33番まで出ると88番が自分の背後に流れて、そこにマリウス・ホイブラーテンが対応すると内側へのパスを狙うというこのシステムではオーソドックスなやり方ながら、ちょっと嫌な攻め方もあった。ただ、マリウスがそれを分かって対応している形が多かったので、そこから大きな問題にはなかった。

浦和のプレスを嫌がって3バックとボランチ、インサイドハーフが自陣に下がっていって人数を増やし、前線は孤立傾向でも個人能力で何とかという感じはちょっとアルヒラルとの試合にも似ていて、浦和としては人数を掛けて前にプレスにいくと背後に広大なスペースがある状態で相手と同数になりかねないというちょっと気持ち悪い状態もあった。ただ、それが試合に大きな影響を与えたのかと聞かれると、そこまで問題を発生させられたわけでもなかった。だから、そうした意味でこのゲームを振り返る時には難しい。それほど困っていないことに対して無理に対応する必要はないけど、快適にプレーしようと思ったらこちらが少し変化する方がベターというのは、状況としては意外と判断が難しいもの。特にピッチ内だけで意思を統一するのは難しいだろう。マチェイさんのハーフタイムでの決断は、選手を入れ替えながら好戦的にプレーするということだったので、それは良い方向に出たようには見えた。

出場の多い3人のボランチとは違う長所を出した柴戸

後半は柴戸が長いプレータイムを得ていて、あらためて彼の興味深い部分が多く出たゲームになったように思う。後半立ち上がりにあった安居海渡のパスがカットされたところからショートカウンターを受けた場面では、迷いなく人を潰しつつセンターバックの間のスペースを消す彼らしい守備能力を見せていたし、試合勘の心配は感じさせなかった。

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