6分でメインミッションを完了 懐かしさを感じさせた要素【轡田哲朗レッズレビュー/ACLプレーオフ理文戦】
(Report by 轡田哲朗)
最初に「ガツン」の効用、岩波の90分も前向きに
浦和レッズは8月22日にAFCチャンピオンズリーグ2023-24のプレーオフ、理文(香港)とのゲームを3-0で勝利して本戦への出場を決めた。一発勝負で懸かっているものが大きすぎるようなゲームだったので、まず結果が出たことが喜ばしいものになった。昨年のACL決勝トーナメントでもあったように、順当にいけば力の差がありそうな試合の立ち上がりに「ガツン」といけたのは一発勝負の上で大きいし称賛されるべきこと。前半3分の時点で先制できたことは肩の荷を下ろす助けになり、追加点がすぐに生まれたのも浦和にとって大きかった。
このゲームはリーグ戦の主要なメンバーの組み合わせでスタメンが組まれたという言い方もできて、今夏の加入から途中出場が続いていた中島翔哉は初スタメンの機会を得られた。また、マリウス・ホイブラーテンが25日の湘南ベルマーレ戦を累積警告で出場停止になることを踏まえ、中2日になるとはいえ岩波拓也が90分の機会を得られたのもプラスだっただろう。アレクサンダー・ショルツと半分ずつというアイディアもあったかもしれないが、シーズン後半戦に入ってプレータイムを作れていなかったこともあるので、またチームに入り込んでいく良い機会になったという見方もできるかもしれない。
2点目を奪った後に全体的にスローペースになり、試合後の記者会見でもその点は話題になった。リアルタイムで試合を見ている時点では、現在のチームが抱える課題が得点力にある点を鑑みて、もう少しゴールにチャレンジするプレーを増やしてもいいのではないかと感じたのは事実だった。ただ、試合後にマチェイ・スコルジャ監督や選手たちからも、現実的に試合結果を持ち帰りやすくすることに軸足を置いた部分がコメントに出ていて、受け入れられる判断だと思えた。なので、そこに対する批判をする気はない。
理文はバリ・ユナイテッド(インドネシア)とのゲームとは違って5バックにして前半を乗り切るプランだったようだけれども、後ろを5枚にしたことでかえって前線の外国人選手たちがサボり傾向を強くした要素があるかもしれないし、その効果のほどは何とも言えない。ただ、彼らの現実的な力関係の判断が後ろを増やしてスタートすることだったのだろう。おそらく後半15分くらいに4-3-3にしたのが本来の姿だろうけど、プレビューでも少し触れたように彼らが国内リーグで後ろを5枚にして守備を固めてカウンターに勝機を見出す立場のゲームをどれだけ経験しているのかは分からない。このような難しさはサッカーが国際的なスポーツであるがゆえに、様々なカテゴリーで顔を見せることがある。
中島が入ったチームから感じた懐かしさの中身
このゲームは中島がトップ下の位置に入って、その効果が前半6分までの2得点に現れた部分があった。多少クラシカルな「10番」のニュアンスも感じさせつつ、引力の大きさを見せた。途中出場でゲーム状況が偏ったところに入ったのとは違ってスタートから、しかもどちらかと言えば相手が浦和に主導権を明け渡すところからの入りだったので、周囲も中島を見るところから始まった。彼自身も特定のエリアに定位するのではなく顔を出していくので必然的にボールタッチ数も増え、その引力は相手にも影響を与えるようになっていく。
(残り 3035文字/全文: 4424文字)
この記事の続きは会員限定です。入会をご検討の方は「ウェブマガジンのご案内」をクリックして内容をご確認ください。
ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。
会員の方は、ログインしてください。
外部サービスアカウントでログイン
Twitterログイン機能終了のお知らせ
Facebookログイン機能終了のお知らせ