浦レポ by 浦和フットボール通信

「危ないから」が理由になることの重さ

(Report by 轡田哲朗)

現時点で把握できている事実と、実際の全容の違い 処分への「決め」の存在

この週末に向け、浦和の周辺では2日の名古屋戦の試合後に起きた騒動の話題が大きくなった。事実の認定にあたる部分で、会見では「収束後にスタジアム内で日本サッカー協会様、Jリーグ様、愛知県サッカー協会様、名古屋グランパス様、浦和レッズ、そして両クラブサポーターの代表者が集まり、事実確認が行われました。『把握できている事実』とは、この事実確認をおいて共有した認識を指しております」とされている。要は、その時点でその場にいた人物が集合して、各自が把握できていることを総合して現時点での全体像を捉えているという話だ。

そこから「弊クラブとしましては、違反行為の調査は継続しておりますし、日本サッカー協会様も映像分析等の調査は継続されていると伺っております。そうした調査やさらなる行為者からの申し出、新たな違反行為、違反者が確認された際には、適正な処分を行ってまいります」という部分にあるように、これからその事実認定の詳細は変化していく可能性は大いにあるだろう。少人数の把握している事実を総合しても、定点カメラのように最初から最後まで広く全体を把握するのは難しい。SNSなどにある映像にしても1つ1つ重要な情報だが、それはある人物がいる地点からの画角で、録画ボタンが押された後の時間のものになってくる。時間軸が違い、画角が違う地点からの映像の数が増えてくればより全体像をつかむことにつながるものだし、目撃証言にしても関係性の薄い複数の人物から同じことが出てくれば信頼度が上がる。そうやって可能な限り信頼に値する断片情報を集めて総合的に『把握できている事実』の精度を上げることが必要なので、その過程で現状より多くのことが判明して対応されていくことになるのだろうし、そうあるべきだろう。

現時点での処分に関して言えば、日本サッカー協会(JFA)やJリーグによるガイドラインの存在は、今回の出来事について事前の「決め」にあたる。会見の補足にもあったように「一つの事案に対して遡及的にルールを変えていく、いわゆる『さかのぼっていく』といったことが果たして適当なのか」というのは妥当な考えだと言える。要は、何かが起こる前に「ある事象に対しての罰則はこのようにする」という基準があったとして、実際に起こってみれば罰則が妥当なのか疑問符が付いたときに、その時点で罰則を変更するのは適切ではないということ。それこそ法律でも特に既定のある場合を除けば認めないとされているものであり、今回の件について当初の「決め」より重い処罰をすることは適切な対応とは言いづらいのではないか。そこは感情を脇に置いて考えるべきことではないかと思う。

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