浦レポ by 浦和フットボール通信

違う表情を見せられた得点場面 多くのヒントが散りばめられたゲーム【轡田哲朗レッズレビュー/ルヴァン杯 川崎戦】

(Report by 轡田哲朗)

最終戦に勝利すれば確実に1位突破の条件を残した

浦和レッズは5月24日にルヴァン杯の5試合目で川崎フロンターレとホームで戦い、2-1の逆転勝利を収めた。これで次の清水エスパルス戦に勝利すると自力で1位突破が決まる。引き分けでも1位の可能性はあり、最低2位にはなれるものの、勝ち点8の2位は脱落する可能性がまずまず高い。いずれにせよ、勝利すれば突破という条件を最終戦に持ち越せたのは前向きな状況を招き入れた。主に浦和が4連続引き分けをしていたことが原因であるものの、勝ち点のアベレージが低い混戦グループになった時は1勝で状況が大きく変わるのを証明したと言える。

このゲームはリーグ戦のアビスパ福岡戦から11人総入れ替えの完全ターンオーバーで、いわゆる「水曜日のメンバー」で臨んだ。とはいえ、この表現はそろそろ終わりにしようかと思っていて、今後の水曜日に入ってくるゲームはリーグ戦か天皇杯なので、このグループステージのようにどこか取り返しの効くものではない試合になってくる。そうした意味でも「ラストチャンス」のニュアンスがあったゲームだったが、今後のメンバーに絡んでいく宣言をプレーで示すことができた選手の数は多かったのではないだろうか。

当初スタメンが発表された時はブライアン・リンセンとホセ・カンテを前線に並べるのかと思ったが、始まってみればリンセンが左サイドで早川隼平が中央だった。確かにリンセンのプレーにトップ下の適性は全く感じないし、過去にやったことがあるという触れ込みだった左サイドハーフですら「うーん」という感じはあったので、彼については今後の取り扱いが不透明なままになった気はしている。確かに、左サイド方向から内を向いてシュートを打たせれば面白い存在にはなりそうだけど、アレックス・シャルクとキャラ被りする面も出てくるので、色々と様子を見てみようというものが残った。

他ではダヴィド・モーベルグが戻ってこられたのは喜ばしいことだし、最終ラインもこれがターンオーバーをした状態のメンバーなのかと言われるくらいには人が揃っている。優勝チームかと言われると分からないが、J1のどのクラブのレギュラーがこの4人だと言われても、弱いディフェンスラインとは感じないだろう。

空いた穴にボールを放り込んだ平野と、ふさがる前に決めたゴール

この試合はゴールシーンを中心に話を進めたい。というのも、どちらの場面もそれぞれに今季序盤から戦ってきたものとは違うニュアンスのものをピッチ上に示して生まれたものだったからだ。まずは同点ゴールの場面から。この時は平野佑一がボールを落ち着けた時に、カンテが中盤に降りて受けに来た。この時に川崎は車屋が降りるカンテについてきたが、平野はカンテと車屋のペアが不在になったことで幅の広い3バック状態になった相手最終ラインの中央部分にアバウトなボールを蹴り込んだ。このパスの意図と試合を通しての背景については平野に取材したコメントがあるので、そちらを参照してもらえるといいと思う。

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