浦レポ by 浦和フットボール通信

垣間見えた「やりたい」と「できる」の関係と、その間にあるもの【轡田哲朗レッズレビュー/J第13節G大阪戦】

(Report by 轡田哲朗)

リンセンと興梠の2トップでスタートしたゲーム

浦和レッズは5月14日にリーグ戦の11試合目でガンバ大阪と対戦して3-1の勝利を収めた。このゲームは前半と後半で表情がかなり変わったが、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)決勝を終えてからの達成感やサガン鳥栖戦の敗戦からくる流れに一区切りをつけられたのは良いことだった。

マチェイ・スコルジャ監督は、そのACL後の一手としてブライアン・リンセンと興梠慎三の2トップをピッチに送り込んだ。ボランチの一角に安居海渡を入れたのは伊藤敦樹がACL決勝から中3日の鳥栖戦もスタメンで出ていたことも要素にあるかなという感があるが、前線の構成に関してはマチェイさんの「やりたい」あるいは「やってみたい」が先にあったような気がしている。

一方のガンバはダニエル・ポヤトス監督の下で、マチェイさんが「J1で最もポゼッション率が高い」と試合前の会見で話すようなサッカーをしてきたが、このゲームでは風上と風下がある程度はっきりする環境の中、特に風上の前半はシンプルなロングボールを増やしていた。また、メンバーが出た時に4-3-3の配置を予想する人もいたが、4-4-2あるいは4-4-1プラス宇佐美という感じの配置を作っていた。

推察された狙いと、そうならなかった部分

浦和の前半は4-4-2にしたが、基本的な狙いとしてはビルドアップのコスト削減と敵陣でのボリュームアップにあったと予想される。そもそもマチェイさんは沖縄県トレーニングキャンプが始まろうという時期に、ダブルボランチの構想を「8番が2人いる感じ」と表現していた。それは両者の役割分担を固定させないという意味と、より2列目に近い仕事をして敵陣に関わっていくという意味の両者があると思われる。

一方で、岩尾憲とはそのスタートの時点で「8番が2人というよりも、6番が2人に見えた」という会話をした。安居が下がりすぎたのも部分もあるだろうし、あるいは局面が移った後に安居が出て行くのが少し遅れたと言えるのかもしれないし、ここは難しい。ただ、岩尾がいる左サイドには小泉佳穂もいるし、中盤の空洞化を感じた興梠がボールを引き出しに降りてくる感じもあったので、左が手厚くて右が薄い状態になった。その感覚で関根貴大とリンセンは割を食ったというか、上手くボールに絡む回数が増やせなかった。マチェイさんは失点の後くらいで小泉と関根の左右を入れ替えるのだけど、これはそのような理由で納得していた。

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