浦レポ by 浦和フットボール通信

前向きに捉えられる引き分け メンバーが変わっても共有される同サイド崩し【轡田哲朗レッズレビュー/ルヴァン杯 川崎戦】

(Report by 轡田哲朗)

大胆なメンバー入れ替え、全チームに自力突破の可能性が残る

浦和レッズは4月5日のルヴァン杯3戦目で、川崎フロンターレとアウェーで対戦して0-0で引き分けた。これでこの大会は3試合連続の引き分けだが、首位の湘南ベルマーレが勝ち点5、清水エスパルスが勝ち点4、浦和が勝ち点3、川崎が勝ち点2と続く。これが意味するのは、全てのチームが残り3試合を全勝した時に自力で1位になれるということ。つまりグループステージの前半戦としては、ホームゲームを2つ残しているという観点からも全く悪い経過ではない。プレビューでも触れたように2位になった時の突破は難しそうな状況ではあるものの、1位取りに対してネガティブに捉える要素はどこにもないし、その必要もない。強いて言えば、2戦目の清水戦の引き分けがもったいなかったが、そんなにすべてが完璧に進むこともないだろう。

マチェイ・スコルジャ監督は水曜日の試合になった川崎戦で直近のリーグ戦、3月31日の柏レイソル戦から10人のスタメンを入れ替えた。それだけでなく18人の試合登録メンバーという観点で見ても、新加入のホセ・カンテ、負傷明けの柴戸海、プロ1年目の堀内陽太、ユース所属で二種登録の早川隼平をベンチに入れて、さらに言えばこの4人を途中交代で使っている。荻原拓也も途中交代で使ったが、彼もまた普段のリーグ戦はベンチスタートが多い。その意味では、徹底的にリーグ戦とメンバーを入れ替えたという言い方もできるだろう。

そして、犬飼智也に関しては昨年4月2日の北海道コンサドーレ札幌戦での大きな負傷から約1年ぶりの公式戦復帰だった。本当に喜ばしいし、彼の思いなんかはコメント記事を読んでいただけるとうれしい。最終的には、シーズン前に海外移籍の可能性を模索するもチームに戻る形になった岩波拓也と犬飼の2人がセンターバックとして奮闘したことで勝ち点1を持ち帰った側面もある。人数や予算の観点からポジションに対してちょっと過剰な戦力という見方もできるかもしれないが、アレクサンダー・ショルツとマリウス・ホイブラーテンも合わせて確かな力と実績のある4人がチームにいるのは頼もしさになる。もっとも、このゲームでベンチ入りした知念哲矢にとってはなかなか厳しい状況ではあるのだが。

シャルクのところから厳しい状況になってしまった守備

大きくメンバーを入れ替えていた試合ということもあって、浦和はビルドアップに苦しむ前半になった。川崎も浦和も、4-4-2で守って4-2-3-1で攻めるような基本構造からスタートするチームだが、岩波と犬飼に対してダミアンと脇坂、伊藤敦樹と平野佑一に対してシミッチと小塚の2対2が2か所できて噛み合う状態を簡単には打開できず、サイドバックに対しても永長と瀬川が前向きに詰めてくる状況で厳しさがあった。そして、少し苦しい中で前にボールをつけようとしても、ブライアン・リンセンは後ろを向いてプレーする時の質は決して高くない。彼は戦うことはできるがボールが収まるタイプではないので、浦和はボールをキープできずに川崎が殴り続けるような展開になった。

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