浦レポ by 浦和フットボール通信

場所の取り方と生かし方 ピッチ上での自立を感じさせる勝利【轡田哲朗レッズレビュー/J第6節 柏戦】

(Report by 轡田哲朗)

6試合で勝ち点12は「試合数の2倍」に乗った

浦和レッズは3月31日のJ1第6節で柏レイソルに3-0で勝利した。今季に入って4勝目だが、複数点差をつけての勝利は初のこと。先制あるいはリードをした後に、その点差を2点に広げることができたのはチームにとっても大きかったのではないか。これで6試合を終えて勝ち点12になり、優勝争いをするチームの基準である試合数を2倍した勝ち点に乗った。あとは、このラインで戦い続けることができれば優勝できるかどうかは別にして、ミハイロ・ペトロヴィッチ監督の退任を最後に5年、6年と離れていた上位での戦いに復帰することができる。そのような位置で戦うことによって感じるプレッシャーやチームを取り巻く空気感は、特に世代交代が進んでいる中では大きな経験にもなる。

少し気の早い話をしたが、このゲームでスタメンはほぼ変わらずになっていて、18人の登録メンバーという部分ではダヴィド・モーベルグからアレックス・シャルクへの変更があった。また、ホセ・カンテはマチェイ・スコルジャ監督の会見からも柏戦での起用は示唆されていなかったし、ルヴァン杯が実戦機会として濃厚かなと予想していたので名前がないことに驚きはなかった。

柏は3-5-2で臨んでいて、最前線の人選でフロートと仙頭になっていたメンバー表を見た時は、仙頭に岩尾憲をマンマークさせる3-5-1-1にするのかとも思ったが、横並びの2トップにして縦は明け渡してもサイドを変えさせないという守り方になっていた。また、このスタジアムの芝は良いのだけどかなり短い上に水をまく量が多かったので、特に前半は浦和の選手たちがボールコントロールにストレスを抱え、足を滑らせる場面が目立った。確かに柏は浦和が縦にいれた後の球際に厳しく来たところはあるが、浦和の側が勝手にミスをして試合をバタバタさせた感があり、柏の良さが出たという感覚はあまりなかった。実際のところ、彼らがペナルティーエリア内で何かをしたのは、コーナーキックがファーサイドに流れたところからマテウス・サヴィオが狙ったシュートくらいで、後半も含めハイライトになるような場面は全てペナルティーエリア外の20メートル級のシュートであり、失点の危機感はほとんどなかった。

岩尾や小泉の動きと、それを生かす場所の取り方

そうはいっても、このゲームは浦和が柏に対応することが状況を変化させるヒントになった。まず柏の2トップのプレスに対して岩尾は「そこまできついプレスじゃなかったので、センターバック2枚と西川選手の3枚でやれるなら自分が下がらないでやれた方がいい」という感覚で試合に入っていたと話す。しかしながら、人数的に担当ゾーンがパチッとマッチアップしてしまう状態になった上に、前述した大量の水をまいた短い芝でボールコントロールがズレる状況だったので、少し噛み合わせを変えて時間を作った方がベターに見えた。要は、「自分たちのやりたいこと」「相手のやりたいこと」「環境やスコアの要因」という3つのポイントで言ったところで環境にあたるピッチコンディションが与える影響から、浦和にマイナスが発生する状況にあった。

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