浦レポ by 浦和フットボール通信

2023シーズンの新加入記者会見で感じたこと

(Report by 轡田哲朗)

所信表明の機会や節目にはなるが、編成は少し別の時間軸で

浦和レッズは1月6日に新体制発表会見を実施した。全体的なレポートは河合貴子さんがすると思うし、別で全文も載っている。時間が許すなら、クラブ公式のYoutubeチャンネルで映像も見られる。だから、ここでは私の感想という形で主観的なものを交えながらいくつかのテーマを見ていこうと思っている。

まず、この新体制発表会見というのは節目であり、同時に大して気にする必要のないものでもある。新監督や選手のお披露目や、クラブの強化部門が所信表明演説をするという点では良いタイミングであり、節目でもある。個別に会見を実施していたらキリがない新加入選手について、ある程度まとめて対応する場を設けるという意味もある。しかしながら、この会見の中で土田尚史スポーツ・ダイレクターも西野努テクニカル・ダイレクターも話したように、選手編成についてはまだウインドーが開いている状態なので、ここから選手のINもOUTも起こり得るだろう。だから、その点についてはあまり気にする必要がないと思っている。

特に欧州を中心にした移籍市場は1月になって開いたところであり、仮に浦和があるクラブの選手を獲得したいと思った時に、移籍金の金額だけでなく代替選手の確保をその相手先クラブができるかどうかによって交渉がまとまる時期が変わることもある。また、浦和から選手を獲得しようとするクラブが現れた時に、複数人の候補のうち1人であるために最終決定が先延ばしされる場合もあれば、金額や契約形態での交渉が必要なこともある。早期合流を目指して、足下を見られるような高額条件を飲んでくるのが優秀な強化部だとも思わない。

現場の都合だけ言えば、この日にスタートした新シーズンのトレーニングにフル参加できるのが望ましいし、沖縄県でのトレーニングキャンプの初日からいられたらベストだ。実際に過去2年間でその合流時期が多少なりとも悪さをした側面はあるのだが、抜本的な解決策となると日本が秋春制にしてシーズンを合わせることになってくるので、この辺のところは理解しながら付き合うしかないだろう。

過去に浦和でプレー経験を持つ興梠と荻原について

個々の選手について、特に浦和で初めてプレーする選手については、私の基本的な考えとしてピッチ上でのプレーをベースに見るのが良いかなと思っているので、現時点の言葉でどうこうよりは今後のキャンプやシーズンが進む中で話題にしていければと思う。過去に浦和在籍経験のある興梠慎三と荻原拓也について言うと、大きく選手が入れ替わってきたここ数年、つまり「3年計画」を打ち出したクラブの中で昨季に不足した要素を持つ2人だと感じている。まず興梠はリーグ戦の優勝争いを経験している。このクラブがミハイロ・ペトロヴィッチ監督の率いていた時期を最後にリーグ戦で上位に進出していないのはそこにある事実で、その時期をまともに知るのは西川周作と関根貴大しかいなかった。そのミシャ時代にも鹿島アントラーズ時代の経験を軸にピリッと引き締めることのあった選手なので、西川が昨季苦労していた役割を少し担ってもらえるのではないかという期待がある。

荻原について言えば、下部組織出身であることも理由の一つとして今チームにいる誰よりも「浦和っぽい」選手ではないかと思っている。感情を表に出して自分で何かをしようとする選手であり、少々強引なリスクテイクもできる。それがチームの助けになる満足のいく成功率を出せるかと、マチェイ・スコルジャ新監督がどこまで許容していくかは別の問題として、彼の持つ熱量はチームに不足していたもの。練習で一発ガツンといくくらい、ちょっと刺激を与えてほしい感もある。他の選手については、おいおい。

大事なのは「ゲームをコントロールする」の中身かもしれない

それで、スコルジャ新監督には会見で質問もさせてもらったのだけど、彼は英語でこのチームでの指揮を執り、羽生直行さんが通訳をすることになる模様だ。スコルジャさんの母国語から英語がどれくらいスムーズなのかは分からないところもあるが、羽生さんの通訳自体は全く心配のないもの。それでも、会見では時間の関係もあるので少し削ったり、あるいは複数の意味に取れる単語をどちらで採用するかを感覚的にやったりする部分が出てくるので、質疑応答の中から2つ少し丁寧にスコルジャさんの言葉を聞いてみた。

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