浦レポ by 浦和フットボール通信

今後のJリーグを勝つために必要なこと、ワールドカップから少し学んでみる

(Report by 轡田哲朗)

戦術的な試合が増えた印象のあるカタールW杯

浦和レッズは11月16日の国際親善試合フランクフルト戦を最後にオフに入っている。こんなに早くシーズンが終わった理由こそ、数日前に決勝戦が行われたカタール・ワールドカップ(W杯)の存在だった。クラブチームと代表チームの違うところで言うと準備期間が挙げられて、細かいところまで戦術を徹底するのは難しいという側面はあるけれども、それでもなおカタールW杯は過去の大会の中でもトップクラスに戦術的な試合が多かったと言えると思う。

私は現地取材をしたわけではないけれども、この業界はこのようなビッグイベントの時に国内でやる仕事も少なからずあるものなので、全64試合のうち50試合以上はリアルタイムで見ながら何らかのことをしていた。そういうわけで、今後のJリーグを勝っていくために普遍的に取り入れられるべき要素や、そのような視点で見ることが好きな人にとっては見る側、考える側のスタンダードに少し役立ちそうな部分をまとめつつ、W杯の試合や浦和レッズの試合から具体例になりそうなものを挙げながら見ていけたらと思っている。

4バックでも頭と体が後ろに引っ張られたら攻撃的にならない

浦和はクラブが打ち出した3年計画がスタートした2020年に、大槻毅さんが4-4-2をベースにした形でプレーし始めてからリカルド・ロドリゲス監督の2年間までを合わせての3年間は、相手ボール時の軸足が4バックにあるチームだったと言える。大槻さんの時にもリカルドの時にも5バックになった試合はあったが、それは時期を経るごとに増加していった印象を持つ人もいるかもしれない。恐らくそれは正しくて、今回のW杯を見てもかなりのチームが5バックのオプションをチームに備えていた。

22年の浦和で典型的な試合を探すと9月の鹿島アントラーズ戦かなと思っていて、このゲームは相手が幅を取らない3トップをぶつけてきた。相手は鈴木が時々ポジションを大きく逸脱してサイドに開くが、基本的には降りないし広がらない。そのため、浦和は4バックがペナルティーエリアの幅で相手の3トップと対峙する一方で、大外に出てくる選手はサイドハーフが担当することになった。

(残り 3581文字/全文: 4504文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

日本サッカーの全てがここに。【新登場】タグマ!サッカーパック

会員の方は、ログインしてください。

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ