浦レポ by 浦和フットボール通信

良くも悪くも前後半で景色の違った最終戦 リカルド2年間の縮図【轡田哲朗レッズレビュー/フランクフルト戦】

(Report by 轡田哲朗)

流動性がありリスクテイクしながら進んだ動的な前半

浦和レッズは11月16日に国際親善試合でドイツのフランクフルトと対戦して4-2で勝利し、今季の全ての試合を終えた。この試合自体は舞台設定のあるトレーニングマッチの域は越えないのだけど、対戦相手には過去に浦和でプレーした長谷部誠もいたし、退任が決まったリカルド・ロドリゲス監督にとっては最後の対外試合でもあった。

試合前日会見では「プレーできる選手は全員を使いたい」と話していたが、どちらかというとリーグ戦の出場機会が多かった選手が後半にプレーするという少し珍しいパターンだった。そのゲームでは主にダブルボランチと2トップのキャラクターの違いが45分ずつハッキリしていて、その結果として攻撃のニュアンスがかなり違う光景になった。

フランクフルトがリーグ戦から中3日で試合前日の来日であり、フィールドプレーヤーを乗せた選手バスが交通渋滞に巻き込まれてキックオフ30分前の19時ごろに到着するとか色々なことはあったけれども、浦和が負ければ浦和が弱いと怒って、浦和が勝てば相手が弱いと怒るような感じはあまり意味が無いと思っている。これが試合である以上、負けていいやと思いながらプレーする選手はいないだろうけど、試合の持つ意味からは基本的に勝敗はどうでもいいと言える。興味の主体は、個人のところをメインに選手を見ていく感じになった。

その試合において前半はダブルボランチが平野佑一と安居海渡で、2トップが江坂任とキャスパー・ユンカーだった。フランクフルトは3-4-2-1のような感じで、シャドーの2枚がセンターバックまで出てくるような感じになる。平野と安居は役割を固定化せずにこの1トップの周りを動いたので、相手の1トップは基本的にどちらを見ると決めることができず、その数的不利を解消するために相手のダブルボランチも状況に応じてどちらかが前へと詰める構えを見せるような感じだった。

この流動性の高さは相手を動かすことにつながったので、1つ遅れて相手の隙間を見つけるのが非常に得意な江坂が輝くことになった。ボランチの脇の辺りで盛んにボールを引き出せたし、安居と平野は流動的であるがゆえに縦パスのコースを探しながらプレーするので全体に縦へのスピード感が生まれ、スペースがあるうちにユンカーに勝負させることができた。その結果としてユンカーが2ゴールという非常に分かりやすい展開になった。

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