浦レポ by 浦和フットボール通信

何分で損切りをするかの難しさ 自分たちから相手を動かす質が必要に【轡田哲朗レッズレビュー/J第28節C大阪戦】

(Report by 轡田哲朗)

選手が戻ってくるのが喜ばしい反面、コンディションにはバラつき

浦和レッズはリーグ戦の28試合目、14日に行われたセレッソ大阪とのホームゲームに0-1で敗れた。公式戦のホームゲームで敗れるのは2月26日のガンバ大阪戦以来ということで、確かに終わった瞬間には埼スタで負けるのがとても久しぶりに感じた。これが今季ホームでの2敗目ということなので、その数字だけを見ると年間やっていればそれくらい負けることはあるだろうというものなのだけど、プレビューなどで記してきたようにセレッソを順位で上回ろうと思ったらこのゲームは引き分けでも不足だったので、恐らく最終順位で彼らを上回るのは難しいだろう。必然的に、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)出場権を得られる順位でリーグ戦を終わるには、全勝した上でかなり都合のいい状況が周囲で起きなければいけないところまで追い込まれたと言える。

浦和は後半から酒井宏樹、ダヴィド・モーベルグ、小泉佳穂が送り込まれたのに加え、岩波拓也もベンチには戻っていた。そうした意味でも、少しずつ選手が戻ってくる流れが続くだろう。一方で、彼ら3人についてリカルド・ロドリゲス監督が試合後に「頭でやろうとしていても体が追いついてこない、という部分はチーム全体として、特に離脱していた選手についてはフィーリングの部分などで欠けているところはあったと思う」と話したように、チーム内でコンディションがバラバラの状態は生まれているようだ。新型コロナウイルスに陽性反応を示した選手が複数いたことに起因するとはみられるが、こればかりは仕方のない部分もある。他クラブに起こったことをどうこう言うつもりはなく、長い目で見れば多くのクラブが大体トントンになってくるようなものだと思っているので、今はちょっと浦和がつらい状態にある。ただ、それを乗り越えないと成績は残らないと捉えれば良いのではないだろうか。

そういうわけでスタメンには西川周作が戻ってきて、アレックス・シャルクや明本考浩、宮本優太も継続スタメンだった。シャルクと大久保智明の位置取りについては異論もあるだろうけど、そもそも柏レイソルとセレッソは違うチームなので、違う並びでスタートすることも監督判断の範疇だろう。ただ、周囲から見れば前の試合で上手くいったものをネジるわけだから、結果が出ないと不満につながりやすいという事実がそこにあるのは仕方ない。

変わった配置でのスタートと、どの時点で見切りをつけるか

開始3分くらいで、「面白いことを考えたな」という感想を持ったのがこの日の並びだった。4-4-2でブロックを組むセレッソに対して、その隊列にできる隙間に人を立たせていったらこうなりましたとでも言うべき並びは、4-4-2の中盤ダイヤモンドに近い感じで始まって、明本が高い位置まで進出すると3-4-3のようになる。前半10分に西川が持ったところから上手く前進できた場面があったように、全く何もなかったわけではない。

(残り 2943文字/全文: 4184文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

日本サッカーの全てがここに。【新登場】タグマ!サッカーパック

会員の方は、ログインしてください。

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ