浦レポ by 浦和フットボール通信

できすぎた起承転結と大団円 見せてしまった甘さと伝統の底力【轡田哲朗レッズレビュー/ACL準決勝 全北現代戦】

(Report by 轡田哲朗)

3試合をほぼ同じスタメン。監督が最良と信じるやり方で良い

浦和レッズは25日のAFCチャンピオンズリーグ(ACL)準決勝、全北現代(韓国)戦に2-2からもつれ込んだPK戦を3-1で制した。PK戦の光景は2007年の準決勝、城南一和戦と同じような強烈なもので、15年の歳月を経て受け継がれているものを感じた。いずれにしても浦和は今季の東地区王者の座を手にして、来年2月に行われるホーム&アウェー方式の決勝で西地区の王者と戦う。その日程の是非はここで問わないが、2017年、19年、そして22年と直近で出場した3大会を全て決勝まで進出しているのだから、ACLでの強さはハッキリと認められて良いと思う。

リカルド・ロドリゲス監督は準々決勝のBGパトゥム(タイ)戦から中2日ながらスタメンをそのままスライドした。ラウンド16のジョホール・ダルル・タクジム(JDT、マレーシア)戦から見ても、大久保智明と関根貴大のところしか変わっていないので、今のチームの中にあるリズムや勝っている流れを大切にした側面はあるだろう。7日間で3試合を消化する日程だけに少し選手を入れ替えながら戦うというアイディアも存在するが、ここはまさに「マネージャーズ・チョイス」というもので、それぞれの監督が最良だと信じるやり方で乗り越えるもの。私はJDT戦のプレビューでも「3試合を同じスタメンでも」と記したように、この判断は支持したい。

一方の全北は11番の快速レフティ、メドウ・バロウをベンチスタートにしていた。逆に9番の長身FWグスタボはスタメン出場で、これは準々決勝のヴィッセル神戸戦とは反対のやり方だった。バロウを前半のうちから交代投入したのは、120分間の可能性を踏まえつつ2人のどちらもピッチにいない状態は避けたかったのではないか。確かに全北の得点になったPKやショートコーナーからの部分に彼らが多く関わったわけではないのだけど、彼らの存在は全北の攻撃において根っこの部分とも言えたので、この辺はキム・サンシク監督によるギリギリの判断だったのだろう。

「起」良い流れを維持した強い立ち上がりと鬼プレス

このゲームのストーリーでいう「起」のところは、前の2戦と同様に浦和が強い入りをできたこと。前半11分に松尾佑介が決めた先制点も素晴らしかったのだけど、むしろ今の浦和を象徴したのは14分のパスワークで相手ゴールに迫っていったところから、その後のタイミングで発生した「鬼プレス」にあったように思う。相手のバックパスに対して小泉佳穂、松尾、ダヴィド・モーベルグ、伊藤敦樹と一気に連動していってボールを奪い、そこから関根貴大が縦に走ってカウンターを仕掛けた。ゴールにつながったわけではないが、なぜ今2トップのスタメンに彼らが選ばれるのかの答えがあったようなシーンだったと言えるし、相手をビビらせるような勢いとプレッシャーを表現できた。ここまでは完全に浦和のゲームだったし、この時間帯にもう1つゴールが生まれたら相手の心はボキッと折れたかもしれないが、いつもいつもそんな簡単に理想通りの展開にはならない。それでも、十分に浦和の良さと強さを見せることができた場面だったと言えた。

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